1999 年 48 巻 7 号 p. 726-736
北海道における代表的な花粉症は従来からイネ科花粉症が知られているが, 最近はシラカンバ花粉症の増加が知られ, 特に, 札幌地方においてはそれが顕著である。著者らはシラカンバ花粉の飛散数と気象条件との関連について統計学的に検討した。また, 1997年の札幌地方における主な空中花粉の飛散状況について調査し, 過去のデータとの比較を行った。その結果, 気象条件とその翌年のシラカンバ花粉の総飛散数との間には密接な関連が示唆され, 特に, 5月から6月にかけての気象条件が重要であると考えられた。また, 湿度と強い負の相関を認め, これが花芽の育成に影響を与えている可能性が示唆された。主な空中花粉の飛散状況は, 3月下旬よりシラカンバなどの樹木花粉が飛散し始め, 6月にはイネ科花粉, 8月下旬頃からはヨモギ属花粉の飛散をそれぞれ認めた。イネ科花粉の飛散数は減少の傾向を示した。