アレルギー
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成人の気管支喘息の急性増悪におけるピコルナウイルス(ライノウイルス)感染の関与 : RT-PCR法を用いた検討
久賀 秀樹星山 佳治國分 二三男今井 俊道徳永 久博松倉 聡川口 未央足立 満川口 毅
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2000 年 49 巻 4 号 p. 358-364

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抄録

成人気管支喘息の急性増悪におけるウイルス感染の関与を明確にする目的で喘息患者167名を対象に感冒症状, 喘息発作の有無別に4群に分類して9カ月間調査した.さらに咽頭うがい液を採取しRT-PCR法を用いてピコルナウイルス, ライノウイルスを検出して, その関連性を検討した.感冒症状を認めた65例のうち喘息急性増悪を認めた症例は40例(61.5%)と高率であった(p<0.01).113種のライノウイルスおよびエンテロウイルスを含むピコルナウイルスを標的にしたRT-PCR法を用いた検討では, 喘息の急性増悪群52例のうち16例(30.8%)にピコルナウイルスが検出され, 喘息発作陰性群115例のうちの12例(10.4%)と比較して有意に高率であった(p<0.01).急性増悪の原因となるウイルスをさらにライノウイルスに絞り再度RT-PCR法を用いて検討した結果, ピコルナウイルス陽性群16例のうち15例(93.7%)と殆どがライノウイルスの関与であった.以上より成人気管支喘息の急性増悪の原因として感冒が重要な因子であり, かつライノウイルス感染との関連性が示唆された.

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© 2000 日本アレルギー学会
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