アレルギー
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慢性成人気管支喘息患者におけるホルムアルデヒド特異IgE抗体について
馬場 研二八木 健郎丹羽 さやか榊原 綾子服部 努小石川 功吉田 和仁小林 正
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2000 年 49 巻 5 号 p. 404-411

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抄録

ホルムアルデヒド(FA)は, 室内気汚染による気道疾患や, 職業性喘息の一因となり得る物質として近年注目されている.我々は, 気管支喘息患者におけるFAに対する特異IgE抗体(FA-IgE)の有無について調査を試みた.対象は当科で管理中の成人気管支喘息患者のうち, 無作為に抽出した80症例.症状安定期に採血し, CAP RAST^(R)でFA-IgEを測定した.末梢血好酸球数, 血清ECP値, 肺機能も調べた.2名の患者にFA-IgEが陽性であった.陽性患者は男性1名, 女性1名で, 男性(56歳)の方は2.99U_A / mlと, 同法による測定値としては文献上極めて高い値を示した.この患者は血清総IgE値も極めて高かった(8400IU / ml).接着剤の臭いの強い職場環境であった.女性患者の方は, FAとの接触歴は明らかではなかった.今回の調査では, 成人喘息におけるFA-IgEの保有は希であったが, FAのアレルギー疾患における関わりについては, それを検討する方法論も含めて今後の検討課題であると思われる.

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© 2000 日本アレルギー学会
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