2006 年 55 巻 2 号 p. 115-125
【背景】成人喘息の予後に関する報告は少なく,特に長期寛解が可能かどうかについては明確な解答は得られていない.【方法】当院アレルギー科外来で平成2〜4年まで気管支喘息として受診していたが,以降,受診していない患者1168名に対しアンケートを実施した.【結果】行き先不明での戻り分370件(31.7%)を除いた798名中430名から回答を得た(回収率53.9%).430名中,86名(20.0%)が過去3年以上全く喘息の治療を必要とせず無症状であると回答した(寛解群:無治療無症状継続群).【考察】このことから,成人喘息においても長期的に無治療で無症状である寛解予備群が存在することが示唆された.寛解予備群導入への予測因子としては初診時重症度が軽症であること,発症より早期に受診していること,初診時呼吸機能が良好,特にアセチルコリン気道過敏性が軽度である,などが考えられた.