アレルギー
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乳児期発症食物アレルギーに関する検討(第1報) : 乳児アトピー性皮膚炎と食物アレルギーの関係
池松 かおり田知 本寛杉崎 千鶴子宿谷 明紀海老澤 元宏
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2006 年 55 巻 2 号 p. 140-150

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抄録

【背景・目的】乳児アトピー性皮膚炎(AD)の食物アレルギー(FA)の関与・食物抗原別の頻度・危険因子を調査・検討した.【方法】1998年から2000年に湿疹を主訴に当科を受診した乳児208例においてADとFAの関連性を検討した.【結果】208例中ADが148例(71%),うち109例(74%)にFAを合併していた.AD児の食物抗原別頻度は,卵72.3%,牛乳39.9%,小麦12.2%,大豆7.4%であった.さらにピーナッツ,ごま,肉類,そば,魚類,じゃがいもと食物抗原は多岐にわたった.FAの抗原は単独抗原陽性46例中卵単独陽性が44例,一方複数抗原陽性63例中36例は卵,牛乳の2種で陽性であった.卵,牛乳の特異的IgE CAP RAST scoreの診断価値は高かったが,偽陰性例も存在した.米,大豆,小麦では,逆に偽陽性例が多く存在した.ADのリスクファクターにはアレルギー疾患の家族歴と受動喫煙が挙げられ,栄養方法や母親の妊娠中・授乳中の不完全な食物除去との関連性は認められなかった.【結語】乳児期ADの診療では,環境整備,スキンケアーにて皮膚症状が改善しない場合,FAの原因抗原診断を行うことが必要である.

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© 2006 日本アレルギー学会
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