2008 年 57 巻 11 号 p. 1182-1187
4人家族のうち夫婦2人が,入居後2ヵ月の比較的短期間の同時期に夏型過敏性肺炎を発症した.症例は45歳男性と43歳女性.2症例ともに2003年6月より,発熱,湿性咳嗽の症状で発症し,胸部X線写真にてびまん性のスリガラス陰影を認めたため当科紹介となった.両症例ともトリコスポロン抗体陽性で,気管支鏡検査で気管支肺胞洗浄液中のリンパ球の増加とCD4/CD8比の低下を認めた.また経気管支肺生検で,胞隔炎と肉芽腫の形成を認め,夏型過敏性肺炎と診断した.抗原からの隔離のみでは十分な改善が得られなかったためステロイドパルス療法を施行したところ,症状および検査所見の改善を認めた.本例では抗原暴露から発症までの期間が約2ヵ月と考えられ,夏型過敏性肺炎は短期間で感作され発症することもあることが考えられた.