アレルギー
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喘息患者におけるピークフローの自己最良値の求め方の検討 : ピークフローの日常時の最高値と高用量の吸入ステロイド投与にSalbutamol MDI反復吸入を用いて求めた最高値との比較
渡邉 直人牧野 荘平木原 令夫福田 健
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2008 年 57 巻 12 号 p. 1284-1292

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抄録

【背景】喘息のガイドラインにおいて,個々の患者のピークフロー(PEF)最良値を求めることは治療管理上重要である.従来PEFの最良値は,安定した日常時の最高値を目安とされてきた.【目的】本研究では,症状が安定した状態での日常時の最高値が最良値として適しているかを検討した.【方法】PEFが基準値の80%未満の中等症以下の喘息患者30名を対象に,日常時の最高値とsalbutamol MDIの20分毎の3回反復吸入後の最高値を比較した.その後全例BDP-CFC1600μg/日に4〜8週間増量し,その間の日常時の最高値の変動とsalbutamol後の最高値の変動とを比べ,また両者も比較検討した.【結果】いずれも高用量の吸入ステロイド投与により有意に上昇し,その上でsalbutamol使用後の値が一番高かった.【考察】日常安定時の最高値は気道炎症の程度に伴い変動するため,最良値としては適切でなく,最良値を求めるのに,軽・中等症喘息(Step2,3)においては4週間以上の高用量の吸入ステロイド投与とsalbutamol吸入の併用は有用であると考えられた.

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© 2008 日本アレルギー学会
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