2008 年 57 巻 12 号 p. 1317-1324
【背景・目的】好酸球の活性化の調節はアレルギー疾患病態・治療応用を考える上で重要な意味を持つ.我々は新しく開発された細胞動態測定装置を用いて好酸球遊走能について基礎的な検討を行った.【方法】ヒト分離好酸球の各種走化性因子に対する遊走とその速度をEZ-TAXIScanを用いて測定し,Boyden chamber法でも経時的な遊走動態の検討を行った.【結果】EZ-TAXIScanでは,PAF,prostaglandin D_2 (PGD_2)に対しては早い速度の遊走反応が数分後から観察されたが,eotaxin,RANTESに対しては60分ほど遅延して反応がみられた.一方,Boyden chamber法ではいずれの走化性因子に対しても20〜60分をピークとした遊走が観察された.【結語】EZ-TAXIScanは好酸球遊走の検討においても有用であるが,走化性因子によっては従来の方法と比較して遊走動態に相違が認められ,評価に際して注意を要すると考えられた.