アレルギー
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クリプトコッカス敗血症を来した難治性気管支喘息の1例
安藤 克利大国 義弘三沢 昌史安井 大策浅井 信博岩崎 拓也中島 啓松沼 亮金子 教宏成田 信
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2009 年 58 巻 11 号 p. 1536-1543

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抄録

症例は64歳男性.難治性の気管支喘息に対してBetamethasone 2mgと糖尿病に対してInsulin治療中であった.平成21年1月中旬より四肢脱力と食欲低下が出現した.胸部画像検査にて肺炎像を認めていたことから,加療を行ったがDICが進行し死亡した.経過中に採取した喀痰培養と血液培養からCryptococcus neoformansを認めたことから,Cryptococcus肺炎,敗血症と診断した.Cryptococcus敗血症は報告が少なく,本邦では自験例を含め20例のみであった.今回我々は本邦での症例集積を行ったが,80%の症例で基礎疾患を有することが判明した.内容は,悪性疾患(40%)や自己免疫性疾患(20%)などが多かったが気管支喘息はこれまでに報告がない.吸入ステロイド薬の普及によって気管支喘息の予後は改善した.しかし依然として経口ステロイド薬を常時必要とする症例は存在し,発作に対するステロイド薬短期大量投与や糖尿病などの合併により,時として本例の様に稀な感染症を引き起こす.喘息管理においては,有害事象の早期発見や予防が重要となる.

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© 2009 日本アレルギー学会
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