アレルギー
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アナフィラキシー型小麦アレルギーに対する急速特異的経口耐性誘導の2例
藤野 歩栗原 和幸
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2010 年 59 巻 11 号 p. 1580-1584

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抄録

【背景】小麦アレルギーに対する経口免疫療法の報告は稀である.我々は2例のアナフィラキシー型小麦アレルギーに急速特異的経口耐性誘導を実施したので報告する.【症例と方法】症例1は8歳女児,症例2は6歳男児.入院して二重盲検小麦負荷試験で陽性を確認後,症状誘発閾値を測定.閾値以下の開始量より,連日5回,30分毎に20%増量のパンを摂取.【結果】小麦蛋白の閾値,開始量は症例1でそれぞれ0.6g,0.06g,症例2で0.3g,0.22gで,それぞれ10日目,8日目に目標のパン1食分(小麦蛋白5.6g)に到達した.副反応は,局所的〜全身に広がる痒み,発赤,蕁麻疹,単回〜10回以上の咳漱,腹痛で,処置の内容は,抗ヒスタミン薬内服6回,β2刺激薬吸入8回,ステロイド薬内服1回だった.退院後,連続しない日に最低週2回摂取し続けているが,症例1は6ヵ月,症例2は3ヵ月経過し,特に問題を認めていない.【結語】アナフィラキシー型小麦アレルギー2例にrush SOTIを試み,安全性と有効性を確認できた.

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© 2010 日本アレルギー学会
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