アレルギー
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救急外来における気管支喘息患者の実態と吸入ステロイド薬処方の影響 : 多施設コホート観察研究
蝶名林 直彦杉山 公美弥加藤 政彦木村 輝明望月 博之安場 広高吉原 重美福田 健森川 昭廣足立 満
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2010 年 59 巻 2 号 p. 123-136

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抄録

【背景と目的】吸入ステロイド薬(ICS)継続治療は救急外来(ER)受診後の喘息再発作を減少させることは報告されているが,ER帰宅時のICS処方の有用性に付いての検討はない.そこでER受診喘息患者の実態と,帰宅時のICS処方が喘息症状などへ及ぼす影響を検討した.【方法】中等度発作以上の喘息発作によりERを受診した患者を対象に,受診前後6ヵ月間の入院,ER受診,予定外受診と治療薬を調査した.【結果】アンケート解析対象患者は343名(成人223名,小児120名)であった.エントリー前6ヵ月間の入院率及びER受診率は,軽症間欠型でも持続型と同程度経験していた(入院:間欠型29.6%,持続型24.7%,ER:間欠型46.2%,持続型53.1%).医師の判断により34%の患者にICSがERで処方された.過去にICSの使用した経験の有無に関わらず,ERから帰宅時にICSを処方された患者の入院リスクは処方されなかった患者に比べ有意に低下した(オッズ比0.256,p=0.040).【結論】軽症間欠型患者においても,持続型と同程度の喘息発作を経験していることが示された.ERから帰宅時のICS処方は,入院リスクの低減をもたらすことが示唆された.

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© 2010 日本アレルギー学会
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