2010 年 59 巻 5 号 p. 552-557
Baker's asthmaが先行し,小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(WDEIA)を発症した47歳女性.誘発試験にて小麦とアスピリンと運動負荷を組み合わせたときのみアレルギー症状誘発とともに血中グリアジン濃度の上昇を認め,ω-5グリアジン特異的IgE抗体が陽性であったことから,ω-5グリアジンが主要抗原のWDEIAと診断した.Baker's asthmaの既往があるため,不溶性のみならず可溶性抗原についても免疫ブロットを施行した.小麦不溶性蛋白では,ω-5グリアジンのみならず,β-,γ-グリアジンと考えられるバンドが検出された.可溶性蛋白では有意なバンドは検出されなかった.以上より自験例ではグリアジンがWDEIAのみならず,baker's asthmaの原因抗原であると考えられた.