【目的】輸血後蕁麻疹は免疫抑制時期には出現しにくいと予想できるが,経験上は骨髄抑制時期でも出現する.輸血後蕁麻疹の予測可能か,あるいは何らかの蕁麻疹出現のメカニズムを検討するため,蕁麻疹が出現した患者の輸血前末梢血検査を後方視的に調査した.【方法】2010年1月から2011年1月まで,広島大学病院・小児科で複数回同種輸血を受け,蕁麻疹を生じた場合と生じなかった場合がみられた症例を対象とした.【結果】末梢血白血球数,特に好塩基球は輸血後蕁麻疹が出現する群で有意に低値だった.血液生化学検査において,AST, ALT, CRP値に両群間で差はなかった.【考察】骨髄抑制による免疫抑制状態なので蕁麻疹は出現しにくいという事実はなく,むしろ白血球減少時の方が,蕁麻疹発症の注意が必要である.