アレルギー
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イカ摂取により発症したと考えたアニサキスアレルギーの1例 : Ani s 1, 2および12ならびにトロポニンCの陽性例
飯島 茂子森山 達哉市川 秀隆小林 征洋塩見 一雄
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2012 年 61 巻 8 号 p. 1104-1110

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抄録
症例は62歳男性.過去に3回,サンマ,カツオ,イワシにてアレルギー症状を起こしたことがある.今回,イカ摂取により発症したと考えたアニサキスアレルギーの1例を報告する.イクラとサーモンの和え物,サバの焼き魚を摂取して1時間後にマグロ,イカの刺身を摂取したところ,直後に,膨疹,意識消失,血圧低下が出現した.種々の海産物等でのImmunoCAP(特異的IgE測定)およびプリックテストはすべて陰性であったが,アニサキス特異的IgEはクラス3,アニサキス粗抗原を用いたプリックテストは3+であった.アニサキス粗抗原を用いたイムノブロットでは,18kDa, 17kDaに強く,35kDaにやや強く,28kDa, 26kDaに弱くバンドが形成された.11種のアニサキスアレルゲン(Ani s 1〜6, 8, 9, 11, 12,トロポニンC)を用いたELISAでは,Ani s 1, Ani s 12に強い反応,Ani s 2,トロポニンCに弱い反応が認められた.イムノブロットによる17kDaおよび18kDaのバンドはそれぞれAni s 1およびトロポニンCのいずれかであり,35kDaはAni s 12と推定した.
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© 2012 日本アレルギー学会
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