アレルギー
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原著
大気汚染物質が喘息およびアレルギー症状を有する者の肺機能に与える急性影響
余田 佳子高木 洋若松 純子大谷 成人島 正之
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2015 年 64 巻 2 号 p. 128-135

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抄録

【背景・目的】近年大気中微小粒子状物質(PM2.5)の越境汚染が注目されており,健康影響が懸念される.そこで,大気汚染物質の呼吸器系への短期的影響を評価した.【方法】離島の学校に通学する学生(37名)を対象として,最大呼気流量(PEF)と1秒量(FEV1)を約1カ月間,毎朝測定した.大気汚染物質濃度は学校の屋上にてPM2.5,粗大粒子(PM10-2.5),ブラックカーボン(OBC),二酸化窒素(NO2)を測定した.【結果】PM2.5濃度が増加すると,喘息の既往者ではPEFの有意な低下がみられた(四分位範囲(17.6μg/m3)増加当たり-42.5L/min[95%信頼区間:-77.0,-8.1].同様にOBC,NO2濃度の増加と肺機能低下との関連もみられた.一方,喘息以外のアレルギーの既往がある者,いずれの既往もない者では,大気汚染物質濃度の増加により肺機能の有意な低下はみられなかった.【結語】喘息の既往がある者は,大気汚染物質の急性影響を受けやすいことが示唆された.

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© 2015 日本アレルギー学会
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