アレルギー
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症例報告
小麦依存性運動誘発アナフィラキシーの小児6症例
中川 朋子酒井 一徳林 直史佐藤 有沙佐々木 渓円松井 照明杉浦 至郎漢人 直之伊藤 浩明
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2015 年 64 巻 8 号 p. 1169-1173

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抄録

小麦依存性運動誘発アナフィラキシー(wheat-dependent exercise-induced anaphylaxis:WDEIA)は成人例の報告が多く,診断にω-5グリアジン特異的IgE検査が有用とされているが,小児WDEIAに関する報告は少ない.本稿では,即時型小麦アレルギーの既往歴がなく,小麦+運動誘発試験で診断したWDEIA 6症例(7~16歳)を報告する.小麦特異的IgE抗体価は<0.35~3.49(中央値1.64)UA/mlで,抗体価が陰性又は低値であった3例に施行した皮膚プリックテストも全例で陰性であった.ω-5グリアジン特異的IgE抗体は,全例で検出限界以下であった.小麦+運動誘発試験が陰性であった4例はアスピリンを併用した誘発試験で陽性となり,そのうち2例はアナフィラキシーショックを誘発してアドレナリン筋注を行った.小児のWDEIAは,血清学的検査では除外できない一方で,誘発試験では重篤な症状が誘発される危険があり,慎重に診断を進めることが求められる.

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© 2015 日本アレルギー学会
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