アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
綜説
アナフィラキシーにおけるマスト細胞由来脂質メディエーターの役割
中村 達朗
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 67 巻 1 号 p. 31-36

詳細
抄録

アナフィラキシーは複数臓器に全身性にアレルギー症状が惹起される過敏反応のことをいう.アナフィラキシーの発症には,アレルゲンとそれに特異的に結合する抗体(IgE)およびそれらに活性化されるマスト細胞が大きく関与している.活性化したマスト細胞は代表的な血管透過性亢進物質であるヒスタミンを放出した後,数分から数十分の間にロイコトリエン類やプロスタグランジン類などの脂質メディエーターを合成して分泌する.著者らはマウスモデルを用いた検討から,マスト細胞が大量に放出する脂質メディエーターの1つであるプロスタグランジンD2(PGD2)がアナフィラキシーの病態進行に対して抑制性に働く因子であることを見出した.本稿では,アナフィラキシーにおける主要なマスト細胞由来脂質メディエーターの役割を紹介するとともに,アレルギー疾患におけるPGD2の役割について概説する.

著者関連情報
© 2018 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top