アレルギー
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症例報告
小児期に発症し30年以上の経過の後に診断に至ったPFAPA症候群の1例
塚平 晃弘竹内 勇介渡邊 築塚本 耕二大久保 喜雄上松 一永
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2020 年 69 巻 1 号 p. 53-58

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抄録

10歳時に施行された口蓋扁桃切除術が無効であった周期性発熱,アフタ性口内炎,咽頭炎,リンパ節炎(PFAPA)症候群の成人例を報告する.症例は40代前半の男性,幼児期以降,発熱をほぼ1-2カ月ごと繰り返した.発熱は数日間持続し,口内炎,白苔を伴う舌扁桃炎,咽頭炎,圧痛を伴う顎下リンパ節炎を伴った.発熱時は,全身状態が不良で,今回入院時にCRPは12.5mg/dlと上昇し,末梢血好中球はFcg受容体(ICD64)を強く発現していた.各種検査によって,細菌感染と膠原病は否定的であった.PFAPA症候群を疑い,シメチジンの治療を開始したが無効であった.発作時にはプレドニゾロンの頓用が奏効した.臨床経過からPFAPA症候群と診断した.家族性地中海熱の責任遺伝子のMEFV解析では,エクソン2のE148Qヘテロ接合体変異を認めた.成人のPFAPA症候群は繰り返す咽頭感染症と誤診されやすく,反復する発熱がみられる症例の鑑別診断において,本症候群を念頭におくことが重要である.

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© 2020 日本アレルギー学会
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