アレルギー
Online ISSN : 1347-7935
Print ISSN : 0021-4884
ISSN-L : 0021-4884
原著
ニトリルゴム手袋によるアレルギー性接触皮膚炎
―原因抗原としてのエチルイソチオシアネートおよびブチルイソチオシアネートの可能性―
飯島 茂子沼田 充佐々木 和実
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 69 巻 8 号 p. 669-677

詳細
抄録

【背景】ニトリルゴム手袋によるアレルギー性接触皮膚炎の抗原決定基については,いまだ完全には明らかにされていない.

【対象】ニトリルゴム手袋によるアレルギー性接触皮膚炎と診断した36 歳女性.

【方法】使用していたゴム手袋,ジャパニーズスタンダードアレルゲンおよびその成分,および手袋の化学分析にて検出された物質を用いてパッチテストを行った.

【結果】ニトリルゴム手袋,チウラムミックス,ジチオカルバメートミックス,テトラメチルチウラムジスルフィド,ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛が陽性,テトラメチルチウラムモノスルフィド,ジメチルジチオカルバミン酸亜鉛が疑陽性であった.手袋の化学分析でエチルイソチオシアネートおよびブチルイソチオシアネートが検出され,これらのパッチテストもともに陽性であった.

【結語】自験例をエチルイソチオシアネートおよびブチルイソチオシアネートによって感作された接触皮膚炎と診断し,これらアルカリイソチアネートが原因抗原となりうると考えた.加硫促進剤不使用のニトリル手袋は,代替として推奨できる.

著者関連情報
© 2020 日本アレルギー学会
前の記事 次の記事
feedback
Top