アレルギー
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原著
舌下免疫療法の小児適応拡大後の小児アレルギー性鼻炎患者における皮下免疫療法の必要性に関する検討
大岩 香梨岡藤 郁夫田中 裕也伊藤 環李 崇至奥立 大樹鶴田 悟
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2021 年 70 巻 9 号 p. 1200-1206

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抄録

【背景】近年,小児のアレルギー性鼻炎患者に対する舌下免疫療法(SLIT)の適応が拡大されたが,敢えて皮下免疫療法(SCIT)を選択する患者が存在する.

【目的】注射の痛みを伴い,全身性副反応リスクの高いSCITを患者自らが選択した理由を調査する.

【方法】2018年6月から2021年1月の間に当院でSCITを導入したアレルギー性鼻炎患者58例を対象に,SCITを選択した理由について診療録を後方視的に調査した.

【結果】年齢中央値は9歳0カ月であった.SCITを選択した理由は,「SLITのアドヒアランス維持が困難であるため」が28例(48%)で最も多かった.次いで,「SLITの副反応のため」「SCITの効果に期待するため」「低年齢(5歳未満)であるため」「アレルギー疾患の治療動機付けのため」などが挙げられた.

【結論】患者は,アドヒアランス維持を要する,自宅で副反応が起こりうるなどのSLITの欠点を補う利点をSCITが持っていることを期待して,SCITを選択していた.

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© 2021 日本アレルギー学会
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