アレルギー
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症例報告
原因として感冒薬が疑われたStevens-Johnson syndromeの1例
竹内 陽平小林 貴江河邊 太加志
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2022 年 71 巻 4 号 p. 328-333

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抄録

今回,チペピジンヒベンズ酸塩(アスベリン®散)が原因として疑われたスティーブンス・ジョンソン症候群(Stevens-Johnson syndrome:SJS)を経験した.症例は7歳男児.チペピジンヒベンズ酸塩(アスベリン®散),L-カルボシステイン(カルボシステイン®DS)内服翌日に,38℃以上の発熱,喘鳴,酸素飽和度の低下,2日後に口唇・眼粘膜・外陰部の糜爛などの粘膜疹,体幹部の水疱が生じSJSと診断した.眼には偽膜形成,角膜上皮欠損も認めたため,発症早期にステロイドパルス療法を施行し回復した.発症から3年経過したが明らかな後遺症は認めていない.原因検索として施行した薬剤リンパ球刺激試験(drug induced lymphocyte stimulation test:DLST)で,チペピジンヒベンズ酸塩+L-カルボシステイン合剤,チペピジンヒベンズ酸塩が陽性を示した.文献では,チペピジンヒベンズ酸塩でのSJS報告例は無かった.チペピジンヒベンズ酸塩は広く小児医療において使用されている代表的な薬剤であるが,SJSの原因になりうるので,投与に際しては十分に注意が必要である.

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© 2022 日本アレルギー学会
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