アレルギー
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原著
小児アレルギー疾患における多項目アレルギー検査ドロップスクリーンの活用に関する検討
伊藤 嘉浩秋元 淳大竹 直人小布施 聖小川 佑人三浦 順一郎藤宮 仁佐藤 さくら海老澤 元宏
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2025 年 74 巻 2 号 p. 63-72

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抄録

【背景】ドロップスクリーンST-1は2020年に実用化された微量の検体で特異的IgE抗体の多項目(抗原)同時測定をベッドサイドで行える検査法である.本研究ではドロップスクリーンST-1と従来法であるイムノキャップの相関性を評価し,小児アレルギー診療における有用性を探索する.

【方法】アレルギー外来を受診した3歳未満の児(244名)の血清を用い,ドロップスクリーンST-1による特異的IgE抗体を測定し,イムノキャップとの一致率の評価,及びCo-Clustering法による感作プロファイルのクラスター分析を行った.

【結果】ドロップスクリーンST-1とイムノキャップとの陽性一致率,陰性一致率,判定一致率は,93.5%,93.0%,89.3%であった.クラスター分析では,Co-Clustering法を用い,情報量基準の一種であるICL値で最適な分割数を求めた.アレルゲン軸では,9つのクラスターに,患者軸では,5つのクラスターに分類することができた.ここで得られた分割表でFisher正確確率を適用したところ,患者とアレルゲンには有意な関係が存在することが示された.アレルゲンとして,卵白,オボムコイド,ミルクなどと,ダニ類は,特徴的なクラスターを形成することがわかった.患者軸では,様々なアレルゲンに高感作されるクラスターから,特定のアレルゲンに高感作されるクラスターまで分類された.

【結語】ドロップスクリーンST-1とイムノキャップとは高い相関性を示した.多項目同時測定の特異的IgE検査により感作パターンのクラスター分析が可能になった.

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