抄録
本研究では力触覚エンタテインメントの要素として独特な感覚の創出・再現性・インタラクティブ性に注目し,力触覚の生成・調合システム“Haptic Canvas”を構築した.特に粘性や剛性を適度に含む独特な力触覚表現として,ダイラタント流体を用いた力触覚提示装置による触覚の調合を可能にした.ユーザは片栗粉粒子のフィルタ及び水の吸入出機構を備えた装置を手に装着し,水槽中に敷き詰められたダイラタント流体中で力触覚インタラクションを行う.開発した装置によって提示可能な感覚様式である,“粘着感”,“硬さ感”,“粗さ感”を仮想的な触覚のもととして導入することで,ユーザの操作に応じた感覚の生成・調合が可能となった.生成される感覚よりシステムの評価を行ったところ,触覚の調合が可能であることが示唆された.また,多くの体験者によって,力触覚の調合と独特な力触覚表現が高く評価された.