芸術科学会論文誌
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一般論文
曲面の流れを考慮したトリム曲面の推定手法
木下 勉松山 克胤今野 晃市
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2015 年 14 巻 4 号 p. 129-139

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抄録
3次元CADシステムにおいて,トリム曲面の表現方法はCADシステム間で統一されていないため,異なるCADシステム間におけるデータ交換で,意図する形状として受け渡しされないことがある.そのため,受け取り側でトリム曲面データの修正が必要であるが,修正のために考慮するべき問題は多い.一つの解決方法としては,曲面情報を破棄し,境界線のみから曲面を生成することが有効な手段である.しかし,境界線のみから曲面を推定すると,元曲面の特徴量が少ないため,意図した形状を推定できないことがある.また,曲面の推定が可能であっても,推定される曲面の品質が低いといった問題がある. 本論文では,境界線上における母曲面のuv方向の接ベクトルに着目し,境界線と母曲面の特徴量の 両方を用いて,母曲面を推定する新たな手法について提案する.本手法では,まず境界線の始点,終点 および曲線セグメント分割点に対し,推定元の母曲面のu , v方向1次微分ベクトルをそれぞれ算出する.つぎに,uv空間における境界線の最大,最小点を通過点とし,通過点における母曲面の接ベクトルを,法線ベクトルとする投影面(平面)を定義する.さらに,各境界線においてuv方向1次微分ベ クトルを補間することで,オフセット方向を定義し,投影面に境界線をオフセットする.最後に,オフセットされた境界線から,閉領域を生成し,内部をB-spline曲面で内挿することで母曲面を生成する.
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© 2015 芸術科学会
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