芸術科学会論文誌
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フローゾーンを超えた動的難易度調整 ~イリンクスを楽しむDynamic Pressure Cycle Control手法~
遠藤 雅伸三上 浩司
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2018 年 17 巻 3 号 p. 62-71

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抄録
デジタルゲームにおいて,難易度は面白さの重要な要素である.難易度がプレイヤーに合ったフローゾーンの範囲に設定されていれば,プレイヤーはゲームを楽しみ上達する.動的難易度調整(DDA: Dynamic Difficulty Adjustment)は難易度設定の優れた方法であり,適正な範囲にゲームの難易度を自動的に調整する.しかしプレイヤーは,ゲームの最中に難易度が調整されていることに気付くと不快に感じる場合がある.本研究は,難易度が適正な範囲を超えてもプレイヤーが楽しいと感じる,動的緊張感周期制御(DPCC: Dynamic Pressure Cycle Control)という新しいゲームデザインコンセプトを考案した.これは周期的に難易度を極端に変更し,フローゾーンを超えて難易度を乱高下させる.我々は,この手法をDDAと組み合わせて「テトリス」に実装し,プレイテストによって検証実験を行った.結果は提案手法が新たな面白さの要素をゲームに加えたことを示していた.また,プレイヤーがゲーム中の意図的な難易度変化に気付いたとしても,不快とは感じないゲームデザインが存在することを示唆した.
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