芸術科学会論文誌
Online ISSN : 1347-2267
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一般論文
粒子法による液滴の滴下挙動再現と定量的評価
夏目 拓也大石 正道大島 まり向井 信彦
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2019 年 18 巻 3 号 p. 106-113

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抄録
脳動脈瘤の破裂によって引き起こされるクモ膜下出血への予防術式として,海外では液体を用いて瘤内を塞栓する液体塞栓術も用いられており,歪かつ巨大な脳動脈瘤に対応可能であることから今後は有力な術式と期待されている.しかしながら,液体塞栓術は塞栓材が瘤外へ流出して健常な血管も塞栓する危険性があるため,国内では未認可である.我々は,粒子法を用いて液体塞栓術への応用を目的とした塞栓材注入シミュレーションを開発し,物理実験と比較することで精度の検証を行ってきた.しかしながら,これまでのシミュレーションで形成された液滴は物理実験のような滴下の挙動を再現できていなかったため,物理実験との比較による定量的な精度検証はできていなかった.そこで本稿では,界面張力モデルとしてポテンシャルモデルを用いることで,シミュレーションでも液滴の滴下挙動を再現し,物理実験との比較により液滴挙動の定量的評価を行う.本手法の適用により,液滴の滴下挙動が再現でき,また,滴下時刻は若干異なるが形成過程は物理実験とほぼ一致していることを確認した.
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