抄録
近年の3Dモデリング環境の動向として,ネットワークを通じて複数人での同時編集がサポートされ,オンラインやVR空間でコミュニケーションを取りながら3Dモデリングを行うことが可能になってきている.しかし,実空間を共有しモデリングを行う場合では,ディスプレイの指向性についての考慮や複数の作業環境が必要となる.本研究では,実空間において複数人で単一のモデリングインタフェースを共有し,スマートフォンARを用いて共同で3Dモデリングを可能にするモデリング手法,Fab KUIを提案する.提案手法では,影をインタフェースとして物体を操作する影ユーザーインタフェースの概念を応用し,影への操作から物体の3次元移動を可能にする事で,物体が移動した3次元的な軌跡から3Dモデルを生成し,ドローイングする様に3Dモデルを作成する事を可能とする.また,スマートフォンARを用いて実空間に作成する3Dモデルを重畳表示させる事で,複数人で3Dモデルを観察する事が可能となる.本稿では,これら提案手法の実装方法について述べ,評価実験の結果からシステムの有効性を示す.