抄録
土器片からの土器の復元は考古学の重要な役割の一つである.遺跡から出土した土器片は手作業で復元されるが,土器片の汚損や破損の恐れがある.従来、コンピュータを用いた復元手法が提案されている.例えば,土器片を二次元パネルに配置し,ユーザーがパズル感覚で組み立てるシステムがある.効率的な組立には,土器片の上下を明確化することが有効である.そのため,土器片を机に置いた姿勢を想定し,点群から上下方向を推定する手法が提案されている.しかし,この手法では上下が反転した姿勢が推定される可能性がある.そこで,本論文では,三次元点群を用いて,線形回帰により土器片の上下方向を正確に推定する手法を提案する.さらに,土器片の上下方向と土器片の各断面から近似した円の半径を基に二次元パネルに初期配置し,インタラクティブに土器片を操作することで,三次元空間上で仮想的に土器を組み立てるシステムの開発を行った.