東北理学療法学
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研究論文
中枢神経内多発血管症(Susac 症候群)により両片麻痺を呈し歩行に全介助を要した状態から足部可動性を有する長下肢装具を用いた歩行練習を実践し監視歩行を獲得した症例
門脇 敬阿部 浩明
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2019 年 31 巻 p. 74-82

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抄録

【目的】 発症後 2 ヶ 月経過した時点で歩行が全介助であった両片麻痺を呈したSusac症候群の一例に対して足部可動性を持つ長下肢装具(Knee-Ankle-Foot-Orthosis:KAFO)を用いて積極的な歩行練習を実施したところ,屋内監視歩行を獲得したため報告する。

【対象】 両片麻痺を呈し,急性期病院にて合併症により離床が進まず発症から 2 ヶ 月が経過したものの歩行に全介助を要する50歳代の女性である。

【方法】 当院転院後,備品の KAFO を用いて歩行練習を中心とした理学療法を実施した。

【結果】 両下肢の筋力が改善し,173病日に四脚杖と短下肢装具を使用して屋内監視歩行が可能となり,自宅復帰を果たした。

【結語】 機能障害の重複によって下肢支持性が低下し,歩行に全介助が必用な症例の歩行再建を目指した場合,症例の能力に合わせて課題難易度を調節できる KAFO の使用は有益であると思われ,それを用いて反復的な歩行練習を実施することを一考すべきである。

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© 2019 公益社団法人 日本理学療法士協会 東北ブロック協議会
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