抄録
広島市安佐動物公園では,1971年の開園当初からゾウの飼育をしており,個体に応じた健康管理のためのトレーニングを行なってきた.2001年に導入したマルミミゾウの雌との繁殖を目指すため,2022年に秋吉台自然公園サファリランドからマルミミゾウの成雄を導入した.導入個体にも細やかな健康管理をするため,ハズバンダリートレーニングにより耳裏からの採血と四肢の手入れができることを目標とし,行動形成していった.その結果,トレーニングを開始して3か月程度で採血に成功し,10~11か月程度で四肢の手入れができるようになった.これまで行なってきた方法で新規導入した成雄でも同様に健康管理ができるようになったことから,適切なトレーニング方法を用いれば性別や年齢などの違いに関係なく健康管理できることが再確認できた.そのために,トレーニング過程を細かく記録し,引き継いでいくことが重要である.