抄録
1.本回の只木採石場堆積物調査では大別して4地点、即ち採石崖の小洞穴 A,B,C,Dを発掘した。
2.上記4地点の発掘で得られた人骨片は計4片、すべて含角礫混砂粘土から出た。A洞では含角礫粘土中に人骨片の他に土器片1例が Canis lupus 下顎骨と接して見出された。
3.人骨を産出した洞穴がすべて小さく、またその埋没位置が洞頂壁から近い点から、これら人骨に代表される人類がこれらの洞内に生存したとは考え難い。また土器片1片を除いて何等生活の形跡をみない点もそれを裏付ける。
4.発掘した入骨片がすべて、相接し連続する B 洞と A 洞に埋没分布し、また A 洞の人骨と獣骨の分布が B 洞との連絡点に集中している点は、前記3の事実と相まって、これら人骨片が B 洞を経て何処からか流入した可能性を暗示する。