霊長類の下肢の筋構成とロコモーション様式とが密接な関係をもつ点に着目し,ブラキエーションという特異なロコモーション様式をもつ類人猿の下肢の筋構成を明らかにし,その Hominization の過程における意義を検討するため,10種77頭の霊長類の下肢筋相対重量値を比較した.その結果,一関節筋が大きく,二関節筋が小さいヒト,その逆のニホンザルの筋構成が,それぞれの下肢筋の推進および支持機能とよく対応すること,ブラキエーターである類人猿の下肢の筋構成は四足歩行型のニホンザルとははっきり異り,二足歩行型のヒトに近いことが明らかとなった.