人類學雜誌
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マカクの赤血球NADP-Isocitrate Dehydrogenase多型
石本 剛一鍬田 美江子庄武 孝義
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1974 年 82 巻 1 号 p. 52-58

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抄録
ヒトで稀に遺伝的変異型のみられる赤血球酵素NADP-Isocitrate Dehydrogenaseをマカク属サルについて調べると, 9種マカク1704例の血液試料から3種対立遺伝子を想定させる6種表現型が同定された.同酵素の変異型はアカゲザル, タイワンザル, カニクイザルにみられ, その出現頻度はヒトの場合と異なり多型的であるが, それら表現型分布は種間および同種内でも地域集団間に著しい差異が認められた.
分析されたマカクは, 種間における対立遺伝子分布から, ニホンザル, ベニガオザル, アカゲザル, タイワンザルの一群とカニクイザル, ブタオザル, ボンネットモンキー, クロザルを含む一群に区別しうるが, この分類がマカク種間の系統関係と何らかの関連があるかどうかが今後の興味ある問題である.
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