抄録
著者によってかつて調査報告されている, アイヌと日米混血児の指掌紋資料から, 指紋, CUMMINS-MIDLOの手掌主線Dの3型, 小指球理紋, II, III, IV指間理紋の代表的3型の4質的形質を用い, BALAKRISHNAN & SANGHVIのB2とEDWARDS & C.SFORZAのE2の2生物学的距離係数を求め, アイヌと日本人, 白人との集団間変異と, アイヌと日本人混血児と日米混血児のそれぞれの両親集団との関係について, 比較考察された.その結果は, 著者の前報告(1962, 1974)の結果とよく一致し, アイヌは白人よりも日本人により近い距離を示し, アイヌと日本人混血児は両親集団の中間に在ることが示された.しかし日米混血児は, 白人よりも日本人とより近い距離にあると思われる.