本稿は現代日本人の骨および歯の性別判定について,判別関数による方法を概観したものである。骨の性別判定に判別関数を最初に応用したのは PONS(1955)であるが,その後埴原(1958)がはじめて日本人の骨を使って計算して以来,わが国でも多くの研究が行なわれ,広く利用されるようになってきた。本稿では性別判定のための判別関数の利用法についてその概要を説明し,合せて従来報告されている日本人についての判別係数や的中率などを表示した。同時にこの方法の利用ならびに判別係数の計算に関して2•3の注意事項を述べ,判別得点の信頼確率の計算法を紹介した。