人類學雜誌
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頭骨の形態小変異形質に基づくポリネシア人数集団の間の近縁関係について
片山 一道
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1988 年 96 巻 3 号 p. 357-369

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抄録
マンガイア島のクック諸島人,タウマコ島のアウトライアー•ポリネシア人,トンガ島民,ニュージーランドの南島および北島マオリ,さらにはチャタム諸島のモリオリの合計6集団の頭蓋資料について形態小変異形質の出現頻度を調べ,スミスのMMD距離を求めて,これら集団間の近縁関係を推定した。その結果,先史マンガイア島民は,従来言われていたようにニュージーランドのポリネシア人集団との間に特別な近縁関係は認められず,タウマコのアウトライアー•ポリネシア人と同様に,むしろトンガなどの西ポリネシア人の方に生物学的にはより近い位置にあることが明らかとなった.これに対し,ニュージーランドの集団は相互によく似たグループを形成することがわかった.今回の比較集団の間では,検査した形態小変異24形質のうち,角前切痕が最も変異性が強く,口蓋隆起,眼窩下縫合などがこれに続くことも示された.
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