人類學雜誌
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縄文人的容貌を示す弥生カメ棺分布域南限の宇土市畑中カメ棺弥生人頭骨
北條 暉幸
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1989 年 97 巻 1 号 p. 123-128

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抄録
畑中(はたけなか)カメ棺弥生人骨は,北部,西北部九州から熊本平野を介して分布する弥生カメ棺分布域の南限に当る熊本県宇土市畑中遺跡から出土し,弥生時代中期の成人女性のものと推定される。同カメ棺弥生人は短頭型,過広顔型,弱い突顎と眉上の隆起を示し, PENROSE の形態距離は,熊本縄文人とは僅か0.2145,土井ケ浜弥生人とは最も遠く1.7165,西北九州弥生人とは1.3902,熊本現代人とは1.4034と比較的遠いなどの結果を示すことから,熊本縄文人に極めて近い顔貌を呈することが確認された。身長は藤井の式から146.6cm と推定された。
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