抄録
歩行研究は日常生活における自然歩行と実験室内で実施される実験歩行に分けることができる。これらの方法から得られた結果は同じ速度であっても一致しないものがあり,またそれぞれの実験条件でしか観察できない内容もある。そこで,本稿では両者の結果を示すことにより,その違いを明確にしながらヒトの歩行の特徴を論じた。歩行の特徴は歩幅および歩調を資料として速度,性,年齢および民族別に考察した。またこれに加えて,自然歩行では時代,履物および地域差についても論じた。実験歩行については床歩行とトレッドミル歩行に分け,歩行時の上肢動作およびエネルギー代謝量についても言及した。