人類學雜誌
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野田市大崎貝塚縄文後期貝層出土ウマ遺残のフッ素年代判定
縄文時代にウマはいたか
近藤 恵松浦 秀治松井 章金山 喜昭
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1991 年 99 巻 1 号 p. 93-99

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抄録

野田市にある縄文遺跡の大崎貝塚において,1986年,シカ•イノシシなどと共にウマの骨が出土した。縄文貝塚からは従来ウマが記録され,当時代にウマが存在していたとされるが,近年,精密で大規模な発掘が増加したにもかかわらず,縄文文化層からウマの出土した例が増えないことから,従来の記録の信頼性が問われている。大崎貝塚のウマの骨にっいては,出土状況に他の動物骨との相違が認められず,当貝層が形成された縄文後期に属する可能性が示唆された。そこで,骨のフッ素分析による年代判定を試みた。その結果,ウマは後世の混入であると判断された。他の縄文貝塚においてもウマの骨の混入が指摘されており,「縄文馬」の存否については再検討を要する。

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