抄録
【活動報告】本研究論文は、フィリピンの貧困農村地域であるタブアン村における、日本の小規模企業による教育分野への国際開発援助を検証するものである。近年、フィリピンはGDP成長率が高く、アジアの経済成長の明るい兆しと見なされている。しかしながら、貧富の格差は大きく、農村部では多くの人々が貧困にあえいでいる。この国における開発援助に関わる主体は多様化し、活動内容も年々拡大している。貧困緩和のため、日本の企業はタブアン村で新校舎や衛生施設の建設など、様々なプロジェクトを実施してきた。本研究では、質的分析を用いて、援助が被援助地域における教育にプラスの貢献をしていることを明らかにしている。最も具体的な成果は、基礎教育の就学率向上への貢献である。さらに、校舎や関連施設の建設は、プロジェクト実施地域に経済的利益をもたらした。また、現地資源を活用することでコスト削減が図られ、一般的な無償資金援助プロジェクトよりも効率的なプロジェクトとなった。これらの取り組みの結果、本研究は、これらの活動が地域の草の根レベルの人々の福祉向上に直接的な利益をもたらしていると結論づけている。