アジア動向年報
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各国・地域の動向
2018年のベトナム 党書記長への権力集中が進むなか,10年ぶりの高成長を記録
石塚 二葉藤田 麻衣
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2019 年 2019 巻 p. 213-240

詳細

2018年のベトナム

概 況

2018年は,ベトナム共産党指導部および政府にとって5年の任期の中間年であったが,反汚職闘争とも絡んで人事上のさまざまな変動があった。元党政治局員や元党中央委員が党を除名され,現職の党中央委員が解任された。現職の政府閣僚が罷免され,元閣僚がその地位をはく奪された。10月,グエン・フー・チョン党書記長は,急逝したチャン・ダイ・クアン国家主席に代わってその職に就き,党と国家の最高職位を兼任することになった。これに伴いチョン党書記長への権力集中はさらに進むとみられる。社会の動きとしては,6月,国会で審議されていた経済特区法案に反対する大規模なデモが各地で発生した。

経済は,輸出向け製造業の伸びと好調な内需に支えられて7.08%という2008年以来の高成長を実現した。インフレ率や財政赤字など政府の目標値のすべてが達成され,好調さを印象づけた。継続的な経営環境の改善策によって民間企業の成長が促進され,自動車生産などの分野では大規模な民間企業の躍進が注目を集めた。国有企業改革では大型の新規株式公開や株式化済みの企業における国家資本の売却が行われたほか,大規模国有企業グループのガバナンスの改善を目的として,政府直属の「企業における国家資本管理委員会」が設立された。

対外関係では,ベトナム戦争終結後初めてアメリカの空母がダナンに寄港し,越米関係が新たな高みに達したことの反映とも評された。他方,トランプ政権は犯罪歴のあるベトナム人移民の大規模な強制送還を企図しており,帰国の受入れに消極的なベトナム政府との間に摩擦を生じさせている。前年のチン・スアン・タイン「拉致」事件に関しては,ドイツとの関係悪化が解消されず,新たにスロバキアもベトナムとの外交関係の凍結を通告する事態となっている。

国内政治

党の動き:歴史的な党書記長と国家主席の兼任

3月,党政治局は,病気療養中のディン・テ・フイン党政治局員が治療に専念するため,その党書記局常任および党中央理論評議会議長の職を解任することを決定した。これに伴い,2017年8月から書記局常任に加わっていたチャン・クォック・ヴオン党検査委員会委員長が単独で書記局常任を務めることとなった。党中央理論評議会議長の職については,2017年12月から議長代行に任命されていたグエン・スアン・タン党書記局員(ホーチミン政治学院院長)が就任した。

5月に開催された党中央委員会第7回総会でも,各級幹部の育成,公務員等の給与政策改革,社会保険政策改革の各議題に関して討議が行われたほか,一連の人事関連の決定がなされた。ヴオン党書記局常任は党検査委員会委員長の職を解かれ,代わって同委員会のチャン・カム・トゥ常任副委員長が委員長に就任した。トゥ新委員長は,2017年6月就任のチャン・タイン・マン祖国戦線議長とともに,党書記局に加わった。第12期党書記局員は当初9人であったが,2018年末時点では14人となっている。第7回総会はまた,すでに2つの裁判で有罪判決が出ていた(後述)ディン・ラ・タン元党政治局員の党からの除名を決定した。

2017年半ば以来健康不安が取りざたされていたクアン国家主席の去就についても注目が集まっていたが,この点に関しては第7回総会では動きはなかった。しかし,9月21日,国営メディアは,クアン国家主席が病気のため死去したと発表した。61歳であった。クアン国家主席の健康状態の衰えはメディアに掲載される写真からもうかがわれるほどであったが,一方で同氏は,5月には日本,8月にはエチオピア,エジプトを訪問したほか,9月中旬にも来訪した各国首脳と会談するなど,死去の直前まで精力的に外交活動を続けていた。原因となった病気については,「非常に珍しい悪性のウィルスに感染した」とのみ説明されている。

クアン国家主席の急逝を受けて,9月23日には,憲法の規定に則り,ダン・ティ・ゴク・ティン国家副主席が国家主席代行に就任した。臨時の措置ではあったが,党指導部の頂点である「四柱」(党書記長,国家主席,政府首相,国会議長)と称される職位のうち2つを女性が占めたのは初めてのことであった。

10月2日に始まった党中央委員会第8回総会では,クアン国家主席の後任人事に関心が集まった。3日,党中央委員会は全会一致でチョン党書記長を国家主席候補に選出した。その後,チョン党書記長は,同月23日,国会において477票中476票の賛成により正式に国家主席に選出された。

党と国家のトップの兼任は,ベトナム共産党の歴史上3度目のことである。党の創設者であるホー・チ・ミンは,1951年から1969年に死去するまでの間,党書記長の上位である党主席というポストと国家主席のポストを兼任していた。ホーの死後,党主席職は廃止され,党書記長が党のトップとなったが,通常,党と国家のトップの兼任は行われず,例外的に1986年,チュオン・チン国家評議会議長が,第6回党大会を前に死去したレ・ズアン党書記長に代わって,約5カ月間党書記長を兼務した事例があるのみである。ベトナム共産党には,伝統的に権力の過度の集中に対する警戒感があるとみられてきた。

このような背景に鑑みると,チョン党書記長の国家主席就任が一見大きな議論もなく速やかに行われたことは注目に値する。この兼任が,近年議論になっている「党と国家の職位・組織の一体化」の動きの一環であるとみられるのかどうかはまだ明らかではない。チョン党書記長自身は,10月8日に行われたハノイ市の有権者との会合で,この兼任は現職国家主席の急逝という状況に対処するための方策であると説明し,これが「一体化」であるという見方を否定している。この措置が一時的なものであるのかどうかの判断は,2021年の次期党指導部の選出を待たなければならない。

第8回総会では,このほかに,2020年までの海洋戦略の実施状況の総括や,幹部,党員の模範としての責任に関する規定について討議が行われ,2021年の第13回党大会の準備のための5つの小委員会が設置された。また,土地・国家資産管理に関する規定違反等の容疑で4月に逮捕されたダナン市のチャン・ヴァン・ミン元人民委員会主席を党から除名し,国有携帯通信会社モビフォンによる不当な企業買収に関与したとされるグエン・バク・ソン元情報・通信相に対し第11期党中央委員の資格などをはく奪する処分がなされた。

年末には2日間にわたり党中央委員会第9回総会が開催された。開催の目的は,第13回党大会に向けた人事案の準備を行うことであった。総会では,現職の党政治局員・書記局員に対する信任投票が行われた。対象となったのは,病気療養中のフイン党政治局員および過去1年以内に党書記局入りした2人を除く21人である。党中央委員会でこのような信任投票が行われたのは前期の2015年1月以来2度目であった。投票の結果については公表されていない。

総会はまた,土地関係の重大な違反行為を行ったとされるタット・タイン・カン党中央委員(ホーチミン市党委副書記)を党の職務から解任した。

国会の動き:経済特区法案に大きな波紋

第14期第5回国会(5月21日~6月15日)は,サイバーセキュリティ法など7本の法律を成立させ(表1),2019年の立法計画に関する決議など7本の決議を採択した。第5回国会は,実質21日間という近年では最も短い会期となった。

当初,第5回国会で採択される見込みであったヴァンドン,バクヴァンフォン,フークォック特別行政経済区法(「経済特区法」)案については,採決が見送られた。同法案についての初めての審議が行われた2017年の第4回国会以来,同法案に対してはさまざまな意見が出されていた。4月16日の国会常務委員会の会合で,グエン・ティ・キム・ガン国会議長は,「すでに政治局が結論しており,法案は憲法にも違反しない。法律を成立させるために議論しなければならないのであって,成立させないためではない」と述べたと伝えられる。

第5回国会で同法案の審議が始まると,一部の議員らが議場内外で同法案への強い懸念を表明した。特に問題となったのは,3つの経済特区において投資家に対する最長99年間の土地の貸与を認める条項である。彼らは,中国国境や南シナ海沿岸など地政学的に重要な地点に位置する各特区予定地で外国企業に数世代にもわたる長期の土地使用を認めることには慎重になるべきであると主張した。

同法案のどこにも書かれてはいないが,これらの議員が念頭に置いていたのは中国である。経済特区の設置がベトナムの安全保障上の要地を中国に「売り渡す」ことにつながりかねないという危惧は国民の間でも急速に広まった。インターネット上には,国会や党・国家の指導者に宛てて,同法案の採決の延期や否決を求める公開書簡や建議書が次々に現れた。国営メディアは,中国が開発投資を行ってきたアフリカやスリランカの経済特区の実情を伝える記事を掲載した。

より体制に忠実であるとみられる議員らも動いた。元国防省次官で退役軍人会主席のグエン・ヴァン・ドゥオク議員は,各省・市の議員団ごとに分かれて討議が行われた6月7日,同じハノイ市選出のチョン党書記長らを前に,その日の議題とはなっていなかった経済特区法案を取り上げて,過去数日間に多くの国民から電話を受け,また直接対話をして,同法案に対する強い抵抗があることがわかったと述べた。同議員は,経済発展は必要だが,いかなる対価を払ってもというわけではないと論じ,「400万人を超える退役軍人会会員の名において,党・国家が慎重に検討を行うことをお願いする」と訴えた。

表1 2018年の国会で可決された法律

(出所)ベトナム国会ウェブサイト( http://quochoi.vn)より筆者作成。

6月15日に予定された同法案の採決を前にした週末の10日には大規模な経済特区法案反対デモが予見されていた。政府は9日,同法案の採決を次国会に延期することを国会に提案することで国会常務委員会と一致したことを明らかにした。99年の賃貸条項についても法案から除く方向で検討する方針を表明した。

このような政府の鎮静化努力にもかかわらず,10日にはハノイ,ホーチミン,ダナンをはじめとして全国各地でデモが発生した。2014年のオイルリグ事件や2016年のフォルモサ事件などのように具体的な事案の発生を契機としたものではなかったにもかかわらず,これらの際のデモに匹敵,ないし上回るほどの規模のデモであったと伝えられる。ハノイの中心部では,数十人のデモ隊が「一日たりとも中国に土地は貸さない」と書かれたプラカードを掲げるなどの抗議行動を行い,公安に抑制された。ホーチミンでは数百人から数千人規模のグループが市内の複数の場所で法案への反対の意思を示し,その一部は拘束された。

翌11日も抗議行動は一部で続いた。特にビントゥアン省では,群衆が省人民委員会の建物に押し寄せ,公安と衝突して,石や手製の火炎瓶を投げたり,公用車に火をつけるなどの事態に発展した。ビントゥアン省では,数年来,中国企業により建設された石炭火力発電所による大気・水質汚染が問題となっていることなどが背景にあるとみられる。

11日,国会は,経済特区法案に対する票決の延期を86%の賛成により決定した。延期の理由は,同法案が前例のない複雑なものであることから,より時間をかけて議員や専門家,国民などの意見を聴取し,法案の内容をより完成度の高いものにして,第6回国会での可決を目指すこととされた。しかしその後,8月24日には,国会のウェブサイト上で,第6回国会で経済特区法案の審議を行わない方針が公表され,当面同法の成立の見込みは不明となった。

なお,12日に採択されたサイバーセキュリティ法案も大きな議論を呼んだ。特に問題となったのは,インターネット上でサービスを提供する企業に対し,ベトナム国内でのデータ保存・事務所設置や,当局の要請によるコンテンツ削除やユーザー情報提供を行うことを義務づける一連の条項である。この法案に対しても,広く経済界や法律家,人権団体,外国政府などから批判と懸念の声が上がった。6月10日のデモの一部はこの法案に向けられたものでもあった。しかし,同法案は,若干の修正を加えたのみで,国会議員の87%の賛成により可決された。

第14期第6回国会(10月22日~11月20日)は,国家機密保護法,改正汚職防止法など9本の法律を成立させ(表1),次年度の予算や経済・社会発展計画にかかる決議のほか,国家主席を選出する決議(前述),「環太平洋パートナーシップに関する包括的および先進的な協定」(TPP11/CPTPP)と関連各文献を批准する決議など,多くの決議を採択した。改正汚職防止法は,局長級以上の職位保持者の資産については政府監査院が監視することや,資産申告制度の対象をすべての公務員に拡大することを定めている。

第6回国会ではまた,モビフォンによる不当な企業買収に関与したとして7月に政治局による警告処分等および国家主席による職務停止処分を受けていたチュオン・ミン・トゥアン情報・通信相が罷免され,後任に軍工業・通信集団(Viettel)のグエン・マイン・フン元社長兼会長が選出された。

10月25日には,国会議員による主要国家幹部に対する信任投票も実施された。投票は,第6回国会で任命されたばかりのチョン国家主席とフン情報・通信相を除く48人の主要国家幹部を対象に,「高信任」「信任」「低信任」の3段階で行われた。投票の結果,最も多くの「高信任」票を得たのは,2013年の第1回,2014年の第2回信任投票と同様,キム・ガン国会議長(2013・14年は副議長)で,投票した議員の9割を占める437人が「高信任」票を投じた。第2位はグエン・スアン・フック首相で,393票(出席議員の81%)の「高信任」票を獲得した。「低信任」票が過半数に達した国家幹部はおらず,最も多くの「低信任」票を得たのはフン・スアン・ニャ教育・訓練相で137票,次いでグエン・ヴァン・テ交通・運輸相で107票であった。2014年の信任投票では100票以上の「低信任」票を得た政府閣僚は7人いたが,今回は2人にとどまるなど,前回と比べると全体として国家幹部に対する信任度が高いことを示す投票結果となった。

聖域なき反汚職闘争:公安省,国防省にも波及

チョン党書記長の主導する反汚職闘争はさらに強力に推進され,従来多くの問題があると見られながらメスが入ってこなかった公安省,国防省にも波及した。

年明けの1月8日には,第2タイビン火力発電所建設プロジェクトにかかるベトナム石油・ガス集団(PetroVietnam: PVN)の巨額損失事件に関し,ディン・ラ・タン元政治局員・元PVN会長,チン・スアン・タイン元ベトナム石油・ガス建設総公司(PVC)会長他20人の被告に対する公判手続きが開始された。1月22日,タン元PVN会長は経済管理規定違反で懲役13年,タイン元PVC会長には同違反で懲役14年,公的資産横領罪で終身刑が宣告された。他の20人の被告にも懲役17カ月から22年まで(執行猶予含む)の有罪判決が下された。

タイン元PVC会長は,2月5日にも,ペトロベトナム電力不動産における不正取引に関する裁判で,公的資産横領罪で2度目の終身刑判決を受けた。タン元PVN会長は,3月29日,PVNの大洋銀行(OceanBank)への出資に関する裁判で,経済管理規定違反で懲役18年と6000億ドンの支払いを命じられた。タン元PVN会長は無罪を訴えて控訴したが,5月14日と6月26日の控訴審判決はいずれも第一審判決を支持している。

3月には公安省ハイテク犯罪防止警察局のグエン・タイン・ホア元局長が,4月には同警察総局のファン・ヴァン・ヴィン元局長が,いずれも大規模なオンライン賭博組織に関与した容疑で逮捕された。11月12日には本件に関し,92人の被告に対する公判手続きが開始され,同月30日,ヴィン元局長とホア元局長は,公務執行上の職務権限の濫用によりそれぞれ9年と10年の懲役判決を受けた。

前年末にシンガポールで拘束されたダナン市の実業家ファン・ヴァン・アイン・ヴーは,7月末,国家機密漏洩により懲役9年の判決を受けた。事案の性格上,詳細は明らかにされていないが,ほかに公安省元幹部ら2人が7年と6年の懲役判決を受けたとされる。

ヴーは12月20日,東亜銀行における不正な利息支払いや融資等に関する裁判でも,資産横領罪で懲役17年の判決を受けている。同事件では,同行のチャン・フオン・ビン元頭取が経済管理規定違反および財産奪取罪で終身刑判決を受けたほか,他の幹部ら24人が執行猶予付き懲役2年から懲役30年の判決を受けた。

7月末にはまた,前年末に逮捕された国防省傘下タイソン社のディン・ゴク・ヘ元副社長と他の元幹部4人に対する判決が言い渡された。ヘ元副社長はその地位を利用して同社に国家プロジェクトの契約を受注させたなどとして職務権限の濫用等により懲役12年,他の4人の元幹部にも18カ月の保護観察から5年の懲役までの有罪判決が下った。本件は,チョン党書記長による反汚職闘争において最初の軍幹部に対する有罪判決となった。

8月6日,ベトナム建設銀行における違法貸付事件に関与した46人の元銀行幹部や企業家に対し有罪判決が下った。同事件に関する裁判は1月に一旦開始されたが,2月7日,証拠が不十分であるとして審理を中断し,7月24日に再開していた。同行のファム・コン・ザイン元会長は,経済管理規定違反で懲役20年,サコムバンクのチャム・ベ元副会長は同じく懲役4年の判決を受けた。ザイン元会長は2016年9月にも別件で懲役30年を宣告されている。

「反体制」活動の抑圧:党内の改革派にも矛先

2018年も,人権擁護,環境保護,反中国などの主張を掲げる多くの活動家・ブロガーらが,反体制的であるとみなされて逮捕・投獄された。

「民主兄弟会」は,2013年に元政治犯らを中心に結成されたインターネット上のネットワークであるが,2018年には同会のメンバーが人民政権転覆罪に問われ,長期の懲役刑を科される事案が相次いだ。4月には,同会創設者のひとりで弁護士のグエン・ヴァン・ダイら6人に計66年の懲役刑が言い渡された。その他のメンバー3人もそれぞれ13年,9年,12年の懲役判決を受けている。

罪を認めない容疑者に懲罰的な重刑が科される傾向も依然として目立つ。環境・人権活動家のホアン・ドゥク・ビンは,2月,公務執行妨害および民主的権利濫用により懲役14年,同じく活動家で作家のレ・ディン・ルオンは,8月,人民政権転覆罪で懲役20年の判決を受けた。いずれも2016年の台湾系企業フォルモサによる海洋環境汚染に関連して,被害を受けた漁民の支援などを行っていた。

他方,6月,上記のグエン・ヴァン・ダイは,4月の第一審判決を支持する控訴審判決が出されて間もなく釈放され,妻とともにドイツに移送された。10月には,反国家宣伝罪で服役していたブロガーのグエン・ゴック・ニュー・クイン(メ・ナム)が釈放され,家族とともにアメリカに渡った。著名な政治犯を釈放すると同時に国外追放することで,人権抑圧批判の高まりをかわすとともにこれらの活動家の国内活動を封じることは,近年,党・政府の常套手段のひとつとなっている。

6月に発生した経済特区法案反対デモの参加者に対しても,多くの実刑判決が下された。デモ参加者の一部が暴徒化したビントゥアン省での検挙人数が最も多かった模様であるが,ドンナイ省やニントゥアン省などでも有罪判決が出ている。多くは公共秩序かく乱罪で1年以内から数年程度の懲役判決であった。

10月25日,党検査委員会は,科学・技術省元次官のチュ・ハオ教授に重大な違反があったとして,同教授に対する懲戒処分を提議した。ハオ教授は「知識」出版社の社長兼編集長であるが,同出版社は党・国家の路線や政策に反する書籍を多数出版し,関係機関による回収・破棄等の対象となってきた。また,教授は,個人としても党の路線や観点に反する内容を持つ執筆・言論活動を行ってきた。例えば,同氏は,2013年の憲法改正の際に,共産党一党独裁を定める第4条の廃止などを提言する建議書を提出した72人のうちの1人であった。

ハオ教授は,翌26日付の書簡で,同氏が45年前に入党した労働党(現共産党)は変質してしまったと批判し,自ら離党の意思を示した。党検査委員会は翌月,ハオ教授を党から除名する決定を行った。これに対し,党内の一部では,ハオ教授を擁護し,また同氏に同調して離党の意思を表明する動きも起こった。

2016年の第12回党大会では,党建設の中心的な課題のひとつとして,汚職撲滅と並んで党員の「変節」との闘いが掲げられた。ハオ教授に対する処分は,党内の思想的多元性を容認しない党指導部の姿勢を改めて示すことになった。

(石塚)

経 済

高成長とマクロ経済の安定の両立を達成

2018年のベトナム経済は,好調な内需と輸出向け製造業の伸びに支えられて高成長を実現した。実質GDP成長率は,好況だった前年の実績(6.81%)を上回り,リーマン・ショックの影響に見舞われた2008年以降で最も高い7.08%に達した。成長率のみならずインフレ率や財政赤字など前年の国会で定められた12の経済指標の目標値がすべて達成され,高成長とマクロ経済の安定の両立を印象付けた。

部門別にみると,農林水産業の成長率は3.76%と,2012年以降で最高となった。市場の需要に対応した生産構造調整や新品種の導入などが進んだことが背景にある。工業・建設の成長率は8.79%であった。製造業は前年(14.40%)を下回るものの2012~2016年の実績を上回る12.98%の成長を記録し,成長の主要な原動力となった。サービス業の成長率は7.03%で,前年(7.44%)には及ばなかったものの2012~2016年の水準を上回った。商業(8.51%),金融(8.21%),輸送・倉庫(7.85%),宿泊・飲食サービス(6.78%)などの成長率がとくに高かった。

貿易の伸びは前年に比べ鈍化したものの堅調に推移し,製造業や農業の成長を支えた。輸出額は2447億ドル(前年比13.8%増)で,このうち外資企業による輸出が1755億ドル(同12.9%)で71.7%におよび,国内企業による輸出は692億ドル(同15.9%増)で28.3%であった。最大の輸出品である電話及び部品は500億ドルと総輸出額の2割超を占めたが,伸び率は前年比10.5%増にとどまった。次いで輸出額が大きかったのは,繊維・縫製品304億ドル(同16.6%増),電子・コンピュータ及び部品294億ドル(同13.4%増),機械・設備・部品165億ドル(同28%増)などである。水産物88億ドル(同6.3%増),青果38億ドル(同9.2%増)など,農水産物の輸出もおおむね好調であった。輸入額は2375億ドル(前年比11.5%増)で,72億ドルの貿易黒字となった。貿易黒字は3年連続となり,黒字幅も前年の約27億ドルから大幅に拡大した。

外国直接投資は,大型案件が相次ぎ記録的な伸びを示した前年に比べ,やや減少した。12月20日までの登録実績では,新規投資の案件数こそ3046件と前年同時期に比べ17.6%増となったものの,新規案件の資本金額は180億ドル(同15.5%減),拡張投資の案件数は1169件,資本金額は76億ドル(同9.7%減)と,資本金額では軒並み減となった。主な案件は,新規投資では住友商事とBRGグループ(地場不動産開発大手)の合弁事業によるハノイ市におけるスマートシティ開発(投資総額41億3800万ドル)や韓国のヒョースンによるバリア=ヴンタウ省におけるポリプロピレン製造工場および液化天然ガス(LPG)倉庫への投資(同12億100万ドル),拡張投資としてはシンガポール系のラグーナ・ベトナムのトゥアティエン=フエ省におけるリゾート開発投資(11億2000万ドルの増資)などがあった。大型案件の少なさなどから登録ベースではやや低調ながら,実施額は191億ドル(同9.1%増)と過去最高となった。国別では,日本が新規投資の登録資本金額65億9210万ドルと全体の36.7%を占め,前年に引き続き第1位となった。直接投資のほか,大規模民間企業の台頭や国有企業改革の進展(後述)に伴い,外国投資家によるベトナム企業への出資や株式購入も増加した。2018年の出資および株式購入の件数は6496件,金額は前年比59.8%増の99億ドルとなった。

マクロ経済の安定も維持された。食糧価格や燃料価格の高騰に加え,政府の管理価格が引き上げられた教育費や医薬品・医療サービス費の上昇によるインフレの加速が危ぶまれた。だが,国家銀行が金融機関の与信額の伸び率を前年実績の18.17%を大きく下回る14%までとする引き締め策を講じたことなどにより,消費者物価指数(CPI)上昇は前年末比2.98%に抑えられた。対ドル為替レートは,アメリカの利上げや米中貿易摩擦の悪化に伴う新興国通貨売り圧力などの影響で年半ばにはドン安が進んだが,年間では前年末比2.69%のドン安におさまった。

財政状況は,前年に引き続き緩やかに改善した。2019年1月の財政省の発表によれば,2018年の財政収入は予算額を7.8%上回る1422兆ドンに達した。好況に伴う税収の拡大,国有企業の株式化および国家資本の売却(後述)による収入などが貢献した。財政支出も支出管理の強化などによって抑制され,財政赤字の対GDP比率は3.6%未満と目標値(3.7%)を下回った。公的債務の対GDP比率は2016年には63.7%と,国会において定められた上限である65%に接近していたが,以後2年連続で減少し,2018年末時点で61%未満と推測されている。政府は5月から6月にかけて,いっそうの民間資金の動員を目的とした官民パートナーシップによる投資についての63号議定,および公的債務の管理の詳細を定めた94号議定を相次いで発行した。

企業の経営環境の改善と大規模民間企業の台頭

2014年から毎年施行されてきた経営環境の改善と国家の競争力向上に関する政府19号決議は,2018年で5回目の施行となった。2018年の決議では,2020年までに経営環境の指標においてシンガポール,マレーシア,タイ,フィリピンの平均値に達するというかねてからの目標が確認されたうえで,2018年中に世界銀行の「ビジネス環境ランキング」におけるベトナムの順位を8~18ランク上げるべく,経営や投資に付される条件の50%を撤廃あるいは簡素化し,セクター別検査の対象となっている品目数を少なくとも50%削減するなどの方針が掲げられた。以後,同決議に従って,各分野における投資条件や行政手続きの削減が進められた。3月には,中小企業振興法の施行細則,および革新的スタートアップ中小企業への投資についての議定が相次いで出された。さらに11月には,企業のコスト削減のための行動プログラムに関する政府139号決議が公布された。これは,企業にとって安定した低コストの経営環境を整備すべく,インフォーマルな支払いなど不合理なコストを抜本的に削減することをねらった施策である。

こうした継続的な経営環境の改善の取り組みもあって,2018年の新規企業設立登録は13万1275件,総登録資本金額は1478兆1000億ドンにおよび,それぞれ前年比で3.5%と14.1%の増加となった。新規設立企業1社あたりの平均登録資本金額は113億ドンで,前年比で10.2%増加した。

中小企業を中心とする新規企業の設立が増加する一方で,大規模な民間企業グループの躍進も目立った。不動産を中核とするビングループは,子会社ビンファストのガソリンおよび電動車の生産への参入(後述)のほか,スマートフォンの生産を手掛ける子会社ビンスマート設立で注目を集めた。本業の不動産業では,5月に子会社ビンホームズがホーチミン証券取引所に上場して13億5000万ドルを調達し,ベトナム最大の新規株式公開(IPO)案件となった。技商銀行(Techcombank)などの金融機関や大規模国有企業グループのIPO(後述)が相次いだこともあり,ベトナムは2018年の東南アジア最大のIPO市場となった。航空分野における民間企業の躍進も著しく,積極的に事業を拡大してきたベトジェット航空は11月にハノイ=関西空港,12月にホーチミン=関西空港という2本の日本への定期便を就航させた。11月には不動産業を中核とするFLCグループ傘下のバンブー航空が交通運輸省から航空輸送事業許可を取得し,本格参入へと動いた。だが,ベトジェット航空では機材の不具合や人為ミスによる深刻なトラブルが相次ぎ,12月末には交通運輸省が厳重な警告を発するとともに検査の強化を指示した。

国有企業と金融セクターの再編に一定の前進

国有企業の再編では,新たな株式化の動きは低調であった。2019年1月の政府官房39号通報によれば,2018年に株式化計画が承認された国有企業は32社にとどまった。モビフォンの株式化が不当な企業買収の発覚(「国内政治」の項参照)によって先送りされるなど,大規模国有企業の株式化はとくに遅れが目立った。

他方,前年までに株式化計画が承認された国有企業のIPOや株式化済みの企業における国家資本の売却では前進がみられた。年初には,大規模国有企業のIPOが相次いで行われたが,当該企業のパフォーマンスや再編計画などによって明暗は分かれた。1月には,PVN傘下のビンソン製油・石油化学(BSR),ベトナム石油総公司(PV Oil),ベトナム石油・ガス発電総公司(PV Power)がIPOを実施し,一定の成功を収めた。これら3社は定款資本金のそれぞれ7.79%,20%,20%に相当する公募株式を完売し,さらに戦略投資家への株式の売却に向け動き出した。不発に終わった例としては,公募株式の21%(定款資本金の11.8%に相当)しか売却できなかったベトナムゴム集団のIPOが挙げられる。2月に実施されたベトナム電力集団(EVN)傘下の第3発電総公司(Genco-3)のIPOにいたっては公募株式の3%しか売却できなかった。こうした失敗の背景には,株式化の数値目標の達成が偏重されるあまり,企業の財務状況の改善や組織改編が十分に行われないままに拙速な株式化が行われたり,各社のIPOの実施時期が十分に調整されないために短期間に多数のIPOが集中し,市場が供給過剰に陥ったりしたことがあるとみられる。さらに,企業内部者や関係者が自らの立場を利用して有利な条件で株式を取得するなど不適切な事案があることも指摘されている。ただし,こうした問題点にもかかわらず,上述の39号通報によれば,2018年には30社がIPOないし戦略投資家への株式の売却を行い,売却収入はおよそ24兆ドン(前年比4.67倍,対2016年比で1.4倍)におよんだ。

前年に引き続き,IPO実施済みの企業における国家資本の売却も実施された。とくに規模が大きかったのは,11月22日付のベトナム建設輸出入総公司株式会社(Vinaconex)における,国家資本投資経営総公司(SCIC)およびViettelが所有する株式の売却である。売却対象の株式はVinaconexの定款資本の78.99%に相当し,売却収入は9兆3690億ドンに達した。上述の39号通報によれば,年間を通じた国家株式売却による収入はおよそ18兆ドン(簿価の2.4倍に相当)であったことから,Vinaconexの案件が半分以上を占めたことになる。

政策・制度面での特筆すべき動きとしては,政府直属の「企業における国家資本管理委員会」の設立があげられる。従来,企業における国家資本の代表者としての機能は中央省庁や地方政府などに分散していた。だが,この仕組みの下では,当該機関が国家資本の代表者としての機能と当該セクターの規制主体としての機能の両方を担うという事態がしばしば生じ,国有企業と民間企業の間の競争条件が歪められるという問題点が指摘されていた。新委員会の設立は,国家資本の代表者としての機能のみを中央省庁や地方政府から切り離し,政府直属の機関に担わせることによって,国有企業のガバナンスを改善しようとする取り組みである。

同委員会の設立については,2016年6月の党中央委員会第5回総会で採択された国有企業の再編と刷新についての12号決議において言及されていたが,2018年2月に委員会設立についての政府09号決議,さらに9月に新委員会の機能,任務,権限,および組織についての政府131号議定が公布され,9月30日付で活動開始に至った。131号議定によれば,同委員会が国家資本の所有主となる企業は,PVNなど国家経済集団6社,SCICを含む大型総公司13社,および首相が定めるその他の企業とされ,ベトナム最大の国有企業グループの大半が網羅されている。11月には,131号議定に明記された19社について工商省や交通・運輸省などから新委員会への国家資本の移管が完了したことにより,同委員会は2300兆ドンという膨大な総資産を有する「スーパー委員会」となった。

金融セクターの健全化に向けた取り組みも継続された。前年の国会42号決議など不良債権処理の加速をねらった一連の政策の効果などにより,金融機関の不良債権比率は前年末の1.99%から2018年末には1.89%まで低下した(2019年初の国家銀行の発表)。金融機関資産管理会社(VAMC)に移管された不良債権についても,2017年~2018年の処理実績は2013年以降の累計額の半分近くに相当する68兆ドン近くに達した。国家銀行による与信拡大の抑制が融資の質の向上を促したことなどで,多くの商業銀行が業績を改善させた。金融機関の自己資本比率の国際統一基準「バーゼルII」の2020年からの適用を控え,Techcombankが大規模な増資を行うなど,自己資本増強の動きも加速した。また,リスク管理の強化などの準備を進め,2020年に先駆けてのバーゼルⅡの自己資本基準の導入を申請していたベトナム外商銀行(Vietcombank)とベトナム国際商業銀行(VIB)に対し,11月,国家銀行は公式に導入を認める決定を行った。

国際経済統合の進展と国内産業振興

ASEAN経済共同体(AEC)の下,1月1日付で域内他国からの輸入に対する関税が一部の例外品目を除き全面的に撤廃された。これに伴い,自動車産業では新たな政策の導入が混乱をもたらし,輸入や生産に従事する企業は対応に追われた。

輸入関税の撤廃に先立つ2017年10月,政府は2つの新たな政策を公布した。完成車の輸入業者に対し輸出国政府が発行する認可証の提出や輸入ロットごと・型式ごとの検査を,完成車を生産する企業に対し車両試験のための設備の整備などを義務付けた116号議定,および域内から輸入される自動車部品のうちベトナムで生産できない部品につき関税を免除する条件として,生産規模や排ガス基準,燃費などの基準を満たさねばならないことを定めた117号議定である。

輸入関税撤廃後,これらの政策は企業に大きな負担を強いることとなった。完成車の輸入業者は116号議定に定められた要件を満たせず,年初から完成車輸入は事実上停止状態に陥った。年後半の輸入再開後も,輸入車の供給不足や煩雑な手続きにかかるコストを反映し,輸入車価格は前年より高水準となった。統計総局の速報によれば,年間の完成車輸入は8万1783台(前年比84%)にとどまった。

生産者の側でもさまざまな動きがあった。国内生産の継続を図る外資企業は,生産量の拡大や追加的な投資への対応に追われた。三菱自動車はベトナム政府と電気自動車などの普及拡大に関する覚書を締結するとともに第2工場の建設計画を発表し,トヨタ自動車については2023年に向けた生産規模の拡大を含む追加投資の計画が報道された。他方,地場企業としては,ビングループ傘下のビンファストが自社ブランドによる自動車生産への本格参入に向け歩みを進めた。同社は前年にハイフォン市での工場建設に着工していたが,2018年6月にはゼネラル・モーターズ(GM)と,GMベトナムのビンファストへの事業譲渡を含む戦略的提携に合意した。同社は製造業の事業経験は皆無ながら,GMから技術供与を受け,イタリア企業にデザインを発注することで迅速に事業体制を築いた。10月にはパリ・モーターショーにおいて,独自ブランドのセダンとスポーツ用多目的車(SUV)を披露し,11月には電動バイク「クララ」を発表した。

CPTPPは,前年11月にアメリカを除く11カ国による大筋合意に至っていたが,2018年3月にチリにおいて11カ国の閣僚による調印が行われた。第14期第6回国会ではCPTPPと関連文献の批准についての決議が全会一致で採択され,ベトナムは7番目の批准国となった。CPTPPはメキシコなど初期批准6カ国については12月30日付で,ベトナムについても2019年1月14日付で発効した。

(藤田)

対外関係

中国との関係:南シナ海での資源探査活動への圧力続く

2018年,中国は南シナ海における実効支配を一層強化し,ベトナムの警戒感を高めた。中国がチュオンサ諸島の人工島にミサイルを配備したという報道(5月)や,同諸島の3カ所に気象観測所を開設したという報道(10月)などに対し,ベトナム外務省はたびたび懸念を表明した。

南シナ海における資源開発をめぐる攻防も続いた。ロイター通信によると,3月,ベトナム当局は,中国からの圧力を理由に,南シナ海におけるスペインのレプソル社による石油掘削事業の中止を要請した。ベトナム政府は,前年7月にも,掘削を続けるならば武力行使も辞さないと中国から警告を受けて,レプソルに掘削中止を要請している。ロイターは,この契約自体を破棄すべきかどうかは党政治局の判断待ちであると報じていたが,5月には,レプソルがベトナム政府との間でプロジェクト中止にかかる補償交渉を行っていることが伝えられた。

5月にはまた,ロシアの国営ロスネフチ社がベトナム沖のガス田で掘削に着手したところ,中国外務省が「いかなる国家,企業,個人も,中国の管轄権の下にある海域で中国政府の許可なしに資源掘削活動を行うことはできない」と述べて牽制した。これに対しコメントを求められたベトナム外務省は,「掘削活動はベトナムの主権と管轄権の下にある海域で行われている」と反論している。

2018年には南シナ海行動規範(COC)交渉に関して新たな展開があった。8月,ASEAN加盟国および中国がCOC交渉のための単一の草案に合意したことが明らかになった。11月には中国の李克強首相が,中国は3年以内のCOC締結を目指すことを言明した。今後は,南シナ海における資源開発や軍事演習のあり方などについても,COC交渉の場でルール化が図られることが予想される。

他方,越中間の経済関係は一層緊密化が進んだ。7月,ハノイの中国大使館は,2018年上半期の越中間の貿易額が月平均100億ドルを超え,ベトナムはマレーシアを抜いて東南アジア諸国のうちで中国の最大の貿易相手となったと発表した。とくにベトナムから中国への輸出は急速に拡大しており,2月には中国はアメリカを抜いてベトナムの最大の輸出先となったという(ただし,ベトナム統計総局のデータによれば,年間ではアメリカ,EUに次ぐ第3位の輸出先)。

ベトナム国内で中国への経済的従属に対する警戒感が根強いことは,経済特区法案反対デモ(「国内政治」の項参照)の盛り上がりからもうかがわれるが,政府は越中国境地域における経済交流の拡大を推進している。8月には中国国境地域で人民元を取引に使用可能とする国家銀行19号通知が公布された(10月12日発効)。9月には,中国の広西チワン族自治区に接するランソン省でチマ国境検問所の開設式典が行われ,ヴオン・ディン・フエ副首相が出席した。

アメリカとの関係:安全保障分野の協力進む

1月,アメリカのマティス国防長官が来訪した。2日間の訪問のひとつの成果は,空母カール・ビンソンのダナン港への寄港が確定したことであった。この寄港については,2017年5月のフック首相訪米の際に最初に提案され,以来慎重に準備が進められてきたという。ベトナム戦争終結後,アメリカの空母がベトナムに寄港するのは初めてであり,近年の越米間の安全保障面での協力関係の緊密化を象徴する出来事となった。3月5~9日に実現した寄港中には,カール・ビンソンの乗組員約6000人が上陸して一般市民との交流も行われた。

7月,ベトナムは,アメリカ海軍が主催する環太平洋合同演習(RIMPAC)に参加するために初めて幕僚8人を派遣した。また,マティス長官は10月にも来訪し,南部ドンナイ省のビエンホア軍用空港のダイオキシン汚染除去プロジェクト対象地区を視察した。同プロジェクトはベトナム戦争の後遺症克服に向けた越米両政府の協力により2012年に開始され,第1弾のダナン国際空港における汚染除去作業は11月に完了した。最も汚染が深刻であるとされるビエンホア空港区域の汚染除去には10年かかるとみられ,5月に合意文書が署名されている。

一見順調に進展している越米の安全保障協力であるが,アジア問題の専門家であるカール・セイヤーは,10月初めに開催された越米国防政策対話で,ベトナムが,2019年に予定されていた15の軍事協力活動をキャンセルしたと伝えている。両国関係が常に直線的に推移しているわけではないことには留意すべきである。

越米間の懸案となっているのが,ベトナム人移民の強制送還問題である。トランプ政権は,犯罪歴のある者など8600人(2017年12月時点)にのぼるベトナム人移民の帰国を受け入れるようベトナム政府に求めてきた。しかし,両政府の間では,両国の国交が正常化した1995年7月12日より前に渡米した移民については強制送還の対象としないという合意が2008年に結ばれており,8600人の多くはこれに該当するという。ベトナム政府は帰国受入れに消極的であり,当初10人余りの帰国を認めた後は受入れを拒否してきた。

10月,『ニューヨークタイムズ』紙は,トランプ政権が8月にベトナム側と合意に達し,その結果,当面強制送還の見通しが立たなくなったとする裁判所の判決文を紹介し,ベトナム人移民の強制送還の方針が変更されたことを示唆した。しかし,12月,トランプ政権は,再び方針を転換して強制送還の実施を目指し,ベトナム側と交渉を行っていると伝えられている。2008年の協定は当初5年,その後は3年ごとに更新されることとなっており,2019年1月に更新時期を迎える。

その他の主な出来事

ドイツとの間では,前年のチン・スアン・タインの「拉致」問題に端を発した関係悪化が尾を引いている。タイン「拉致」事件では,関与を疑われたチェコ在住ベトナム人のグエン・ハイ・ロンが2017年8月に逮捕され,ドイツに移送された。3月,ドイツ検察当局は,拉致に用いられた車を借りるなどベトナムの工作員を補助した疑いで,ロンを起訴した。7月,ロンは容疑を認め,3年10カ月の懲役刑を宣告されたが,その後控訴している。

ロンの公判手続きが開始されたころ,ドイツのメディアは,本件拉致にスロバキアが関わっていた疑いを報じ始めた。それらの報道によれば,スロバキアの前内務大臣は,拉致が行われたとされる日の3日後に首都ブラチスラヴァでベトナムのトー・ラム公安相と会談しており,スロバキア政府は,「予期せぬ日程の変更」によりブラチスラヴァからモスクワへ移動することになった公安相一行に政府専用機を提供したとされる。この飛行機にタインが乗せられていたとみられる。

5月,スロバキア外務省は,ベトナム大使を通じて本件拉致疑惑に関する説明を要求した。10月,スロバキアの外務相は,前月の国連総会の会合の際にベトナム外務相に改めて説明を求めたが,その後も回答がないことを明らかにし,納得のいく説明が得られなければ二国間関係を凍結すると警告した。

9月にはハノイでASEANに関する世界経済フォーラムが開催され,ASEAN諸国の首脳や国内外の企業・団体の代表などが参加した。前年のAPEC首脳会議に続き,ベトナムは大規模な国際会議を成功裏に開催したことになる。一方,フォーラムに招待されていた2つの主要な国際人権団体の代表は,ビザの発給を拒否され入国できなかったと報じられた。

2018年はまた,日本を含む多くの国との間で外交関係樹立45周年が祝われ,多くの記念行事が行われた。

(石塚)

2019年の課題

10月に国家主席に就任したチョン党書記長の下で,ベトナムの反汚職闘争は一層進展すると予測される。すでに摘発が進んでいる情報・通信省=モビフォン事件や,ダナン,ホーチミンの土地管理に関する疑惑などに関する今後の展開も注目される。この反汚職闘争を失速させないためにも,重要になってくるのが第13回党大会に向けた人事および政策の準備である。国民の体制への支持を獲得するためには,次世代党幹部候補に,清潔で有能な,党員や国民にとって「模範となる」人材を登用することが求められる。

7%台の高成長とマクロ経済の安定を達成した経済は,一見好調である。だが,予断を許さない財政状況,少数の外資企業に依存する輸出構造,国有企業改革の遅れや実施上の問題など,依然として課題は多い。2018年中盤から悪化した米中貿易摩擦については,中国からの生産の移管などベトナムに対するメリットも指摘されており,2018年末までのところ特段の負の影響は現れていない。だが,世界的な貿易の減速や成長の鈍化につながるならば,貿易や外国投資への依存度の高いベトナムにとって痛手となりかねない。2019年1月にはCPTPPが発効することなどもあり,対外情勢を見極めながらの巧みなマクロ経済運営,経営環境の改善を通じたさらなる企業成長の促進,国有企業などの構造改革の継続的な取り組みが求められよう。

外交面では,南シナ海COC交渉の進展が注目される。南シナ海に関する多国間の枠組みでの規範形成を支持するベトナムは,従来COCの早期締結を訴えてきた。しかし,多くの重要な論点に関して関係各国が合意に達することは容易ではなく,ベトナムにとっても厳しい交渉となることは想像に難くない。アメリカやドイツとの間の懸案の解決など,その他の外交上の課題も少なくない。

(石塚:新領域研究センター)(藤田:地域研究センター)

重要日誌 ベトナム 2018年
   1月
1日 労働者の最低賃金,平均6.5%引き上げ。
3日 2016年,ダクノン省での土地紛争で3人殺害の農民ダン・ヴァン・ヒエンに死刑判決(7月12日の控訴審,第一審判決支持)。
4日 ダナン市の実業家ファン・ヴァン・アイン・ヴー,シンガポールから強制送還。
10日 フック首相,カンボジアで開催されたメコン-ランツァン協力首脳会議に出席。
12日 政府,ベトナム産ナマズ(チャ,バサ)に対するアメリカの反ダンピング関税を不当としてWTOに提訴。
17日 BSR,ホーチミン証券取引所でIPO実施。
22日 PVNの巨額損失事件で,同社タン元会長に経済管理規定違反で懲役13年,タイン元PVC会長に経済管理規定違反で懲役14年,公的資産横領で終身刑。
23日 ホアハオ信徒のヴオン・ヴァン・ターら4人,ベトナム共和国旗を掲げた罪により最長12年の懲役。
24日 フック首相,インド訪問(~26日)。
25日 PV Oil,ホーチミン証券取引所でIPO実施。
31日 PV Power,ハノイ証券取引所でIPO実施。
   2月
2日 ベトナムゴム集団,ホーチミン証券取引所でIPO実施。
3日 企業における国家資本管理委員会の設立についての政府09号決議公布。
4日 フック首相,ラオス訪問(~5日)。
5日 ペトロベトナム電力不動産における公的資産横領事件の裁判で,タイン元PVC会長に公的資産横領罪で終身刑。
6日 環境活動家のホアン・ドゥク・ビンとグエン・ナム・フォン,公務執行妨害罪等により,それぞれ懲役14年と2年(4月24日の控訴審,ビンに対する第一審判決支持)。
22日 政府,ベトナム産ナマズ(チャ,バサ)に対するアメリカの輸入検査体制などを不当としてWTOに提訴。
   3月
1日 インターネットサービスおよびネット上の情報の管理,供給,使用に関する政府27号議定公布。
2日 クアン国家主席,インドとバングラデシュ国賓訪問(~6日)。
2日 政治局,フイン党政治局員の党書記局常任および党中央理論評議会議長の職を解任。
5日 アメリカの空母カール・ビンソン,ダナンに寄港。
6日 インド主催の海軍大規模合同演習「ミラン2018」にベトナム参加。
8日 チリで CPTPPに署名。
11日 公安省ハイテク犯罪防止警察局のホア元局長,ネット賭博組織の容疑で逮捕。
11日 フック首相,ニュージーランドとオーストラリア歴訪(~18日)。
17日 ファン・ヴァン・カイ元首相,死去。
20日 アメリカ商務省,ベトナム産チャ魚に対する反ダンピング関税引き上げ。
22日 韓国の文在寅大統領,来訪(~24日)。
23日 PVNがレプソルとの資源開拓プロジェクトを停止とロイター報道。
25日 チョン書記長,フランス公式訪問(~27日)。
26日 ベトナム航空,エールフランスと5億ドルの契約締結。
28日 チョン書記長,キューバ国賓訪問(~30日)。
29日 PVNのOceanBankへの投資事件に関し,タン元会長に経済管理規定違反で懲役18年と6000億ドンの賠償命令。
   4月
4日 フック首相,カンボジア訪問(~5日)。メコン川委員会国際首脳会議出席。
5日 グエン・ヴァン・ダイら「民主兄弟会」活動家6人に人民政権転覆罪で計66年の懲役(6月4日の控訴審,第一審判決支持)。
6日 公安省のヴィン元警察総局長,賭博に関与した容疑で逮捕。
10日 「民主兄弟会」メンバーのグエン・ヴァン・トゥク,人民政権転覆罪で懲役13年。
12日 「民主兄弟会」メンバーのチャン・ティ・スアン,人民政権転覆罪で懲役9年,保護観察5年。
17日 ダナン市人民委員会のミン元主席および公安省諜報局のファン・フー・トゥアン元副局長,それぞれ土地・国家資産管理規定違反と国家機密漏洩の容疑で逮捕。
19日 ミャンマーのアウンサンスーチー国家顧問,来訪(~20日)。
25日 フック首相,シンガポール訪問(~28日)。ASEAN首脳会議出席。
   5月
4日 レプソルがベトナムと南シナ海における掘削プロジェクトの中止にかかる損害賠償の協議を行っているとロイター報道。
7日 党中央委員会第7回総会開催(~12日)。
7日 ビンホームズ,ホーチミン証券取引所に上場。
8日 外務省報道官,中国がチュオンサ諸島にミサイルを配備したことに抗議。
10日 ビンソン製油・石油化学のグエン・ホアイ・ザン会長,逮捕。
16日 中国外務省がロスネフチの南シナ海における掘削活動に警告とロイター報道。
21日 第14期第5回国会,開幕(~6月15日)。
21日 外務省報道官,中国空軍がホアンサ諸島で爆撃機の発着訓練を行ったことに抗議。
21日 インドの戦艦,ティエンサ港に寄港(~25日)。初の共同海軍演習実施。
21日 アメリカ商務省,ベトナム経由で輸入される中国産鉄鋼に対する反ダンピング課税。
23日 オーストラリアのコスグローブ総督,来訪(~26日)。
29日 クアン国家主席,日本国賓訪問(~6月2日)。
31日 ベトナム建設銀行元幹部のフア・ティ・ファンに横領罪で懲役30年と7億ドルの賠償命令。
   6月
5日 タンソンニャット空港爆破未遂事件の被告15人の控訴審,一審判決を支持。
7日 「民主兄弟会」創設者グエン・ヴァン・ダイとその助手レ・トゥ・ハー,刑期満了前に釈放,ダイの妻とともにドイツに移送。
8日 フック首相,G7首脳会議出席およびカナダ訪問(~10日)。
10日 経済特区法案反対デモ,各地で発生。
11日 国会,経済特区法案の票決延期決定。
15日 フック首相,バンコクで開催されたエーヤーワディ・チャオプラヤ・メコン経済協力戦略(ACMECS)第8回首脳会議およびCLVM第9回首脳会議に出席(~16日)。
20日 ホーチミン市タンビン区第12坊の警察署付近で爆発。警察官1人が負傷。
23日 ダナン市で,地球環境ファシリティ(GEF)の第6回総会開催(~26日)。
25日 バンブー航空,ボーイング社と787-9ドリームライナー20機の購入契約締結とロイター報道。
27日 ビンファスト,GMと戦略パートナーシップ協定締結。
30日 党検査委員会,ベトナム投資発展銀行のチャン・バック・ハー元会長の党からの除名を決定と発表。
   7月
1日 公務員の最低賃金引き上げ。
3日 ラオスのブンニャン人民革命党書記長,来訪(~7日)。
10日 モビフォンのレ・ナム・チャ元会長と情報・通信省のファム・ディン・チョン企業管理局長,同社の企業買収に関連して逮捕。
10日 党政治局,トゥアン情報・通信相に対し警告処分および同省党幹事委員会書記解任。
10日 ルター派教会牧師のディン・ジエム,人民政権転覆罪で懲役16年。
16日 情報・通信省,トゥオイチェ紙電子版の3カ月停止および罰金の徴収を決定。
23日 トゥアン情報・通信相,職務停止。
25日 チェコ在住ベトナム人のグエン・ハイ・ロン,ドイツの裁判所で有罪判決。
30日 ファン・ヴァン・アイン・ヴー,国家機密漏洩罪で懲役9年。
31日 PVN,南シナ海の石油・ガス田共同開発について,出光興産および国際石油開発帝石と契約締結。
31日 国防省傘下タイソン社のヘ元副社長,職務権限の濫用等で懲役12年。
   8月
6日 ベトナム建設銀行の違法貸付事件で46人の元幹部らに最長20年の懲役(一部執行猶予;12月25日の控訴審で10人につき第一審判決支持,2人につき執行猶予)。
6日 公安省再編に関する政府01号議定公布。
8日 フック首相,公安省のブイ・ヴァン・タイン次官を解任。チャン・ヴィエト・タン元次官の資格はく奪。
16日 人権活動家・作家のレ・ディン・ルオンに対し,人民政権転覆罪で懲役20年(10月18日の控訴審,一審判決を支持)。
22日 ベトナム系アメリカ人のジェームズ・グエンら2人,2017年のタンソンニャット空港爆破未遂事件および6月のホーチミン市警察署での爆破事件に関連して,人民政権転覆罪で懲役14年および国外退去処分。
23日 クアン国家主席,エチオピアとエジプト歴訪(~29日)。
24日 国会ウェブサイト,第6回国会で経済特区法案の審議を行わないことを公表。
28日 中国との国境地域で人民元を取引に使用可能とする国家銀行19号通知公布(10月12日発効)。
   9月
5日 チョン書記長,ロシアとハンガリー歴訪(~11日)。
10日 中国国境のランソン省で,チマ国境検問所の開設式典開催。
11日 インドネシアのジョコ大統領,来訪(~12日)。
11日 ASEANに関する世界経済フォーラム(WEF),ハノイで開催(~13日)。
13日 「民主兄弟会」メンバーのグエン・チュン・チュク,人民政権転覆罪で懲役12年および保護観察5年。
21日 クアン国家主席,死去。
26日 フック首相,国連総会の一般討論出席のため,ニューヨーク訪問(~29日)。
29日 企業における国家資本管理委員会(「スーパー委員会」)の設立に関する政府131号議定公布。
   10月
1日 ド・ムオイ元党書記長,死去。
2日 党中央委員会第8回総会開催(~6日)。
2日 ビンファスト,パリ・モーターショーに2車種出品。
5日 「ベトナム民族連盟」を結成したリュー・ヴァン・ヴィンら5人に人民政権転覆罪で懲役8年から15年。
7日 フック首相,日本訪問(~10日)。第10回日メコン首脳会議出席。
10日 ベトジェット,三菱UFJリースなどと計約12億ドルの融資に関する覚書締結。
11日 フック首相,インドネシア訪問(~12日)。
14日 フック首相,オーストリア,ベルギー,デンマーク,EUを公式訪問(~21日)。
17日 グエン・ゴック・ニュー・クイン,釈放されてアメリカテキサス州に移送。
20日 スロバキア外務相,チン・スアン・タイン拉致事件に関し両国関係の凍結を示唆。
22日 第14期第6回国会開幕(~11月20日)。
29日 キエンザン省フークォック島でのカジノ付き観光娯楽施設建設案件,承認。
   11月
2日 フランスのフィリップ首相,来訪(~4日)。
2日 フック首相,第1回中国国際輸入博覧会2018に出席のため中国訪問(~5日)。
8日 キューバのディアス=カネル国家評議会議長,来訪(~10日)。
8日 外務省報道官,中国がチュオンサ諸島に設置した観測所の使用を開始したことに抗議。
8日 ベトジェット航空,ハノイ・関西を結ぶ直行便就航。
9日 労働・傷病兵・社会省のレ・バク・ホン元次官(社会保険機関元社長),逮捕。
12日 バンブー航空,航空輸送事業許可を取得。
13日 フック首相,シンガポールでASEAN首脳会議に出席(~15日)。
14日 モビフォンによる企業買収に関連して,同社のカオ・ズイ・ハイ元社長ら逮捕。
14日 党検査委員会,科学・技術省元次官のチュ・ハオ教授を党から除名。
14日 ギソン製油所,商業運転を開始。
17日 インドのコーヴィンド大統領,来訪(~20日)。
17日 フック首相,パプアニューギニアで開催のAPEC首脳会議に出席(~18日)。
18日 ロシアのメドベージェフ首相,来訪(~19日)。
19日 ホーチミン市人民委員会のグエン・ヒュー・ティン元副主席ら,土地の不正売却に関与した容疑で逮捕。
22日 外務省副報道官,南シナ海における中国の新施設建設の中止を要請。
22日 SCICとViettelが所有するVinaconexの株式をハノイ証券取引所で売却。
29日 公安省,ベトナム投資発展銀行のハー元会長を逮捕と発表。
30日 公安省のオンライン賭博事件で92人の被告に対する判決。ヴィン元警察総局長,公務執行上の職務権限濫用により懲役9年。ホア元ハイテク犯罪防止警察局長に同10年。
   12月
6日 カンボジアのフン・セン首相,来訪(~8日)。
6日 韓国のハンファグループ,ベトナム初の航空機エンジン部品生産工場の稼働開始。
8日 国家財産の管理・使用に関する規定違反の容疑で,ホーチミン市人民委員会のグエン・タイン・タイ元副主席逮捕。
14日 ベトジェット航空,ホーチミン・関西を結ぶ直行便就航。
14日 ビンスマート,自社開発した「Vスマート」ブランドのスマートフォン4機種を発表。
20日 東亜銀行のチャン・フオン・ビン元副会長兼頭取に経済管理規定違反および財産奪取罪で終身刑。ファン・ヴァン・アイン・ヴーに資産横領罪で懲役17年。
25日 党中央委員会第9回総会開催(~26日)。
30日 CPTPP,メキシコなど初期批准6カ国(ベトナムを含まず)を対象に発効。
30日 クアンニン省のヴァンドン国際空港開業。初の民間企業の投資による空港。
31日 ヴィングループのコンビニエンスストア「ヴィンマート・プラス」117店舗開業。

参考資料 ベトナム 2018年
①  国家機構図(2018年12月末現在)
②  ベトナム共産党指導部(2018年12月末現在)

(注)政治局員,書記局員の記載順は,2018年10月1日に死去したDo Muoi元党書記長の葬儀委員会名簿に基づく。ただし,Dinh The Huynh政治局員・書記局員は病気療養中であり同名簿に記載なし。

③  国家機関要人名簿
④  2019年の主な目標と主要指標

(第14期第6回国会で2018年11月8日に可決された2019年の経済・社会発展計画に関する国会決議より)

(出所)ベトナム国会ウェブサイト(http://quochoi.vn/)より。

主要統計 ベトナム 2018年
1  基礎統計

(注)1)暫定値。ただし,2017年の消費者物価上昇率は確定値。失業率は都市部についての数値。

(出所)統計総局ウェブサイト(http://www.gso.gov.vn)。

2  支出別国内総生産(名目価格)

(注)1)暫定値。

(出所)表1に同じ。

3  産業別国内総生産(実質:2010年価格)1)

(注)1)基本価格表示。2)暫定値。

(出所)表1に同じ。

4  所有形態別国内総生産(実質:2010年価格)1)

(注)1)基本価格表示。2)暫定値。

(出所)表1に同じ。

5  国・地域別貿易

(注)1)暫定値。

(出所)表1に同じ。

 
© 2019 日本貿易振興機構 アジア経済研究所
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