Anthropological Science (Japanese Series)
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原著論文
近年の反短頭化に帝王切開による分娩の増加は関与するか?
河内 まき子中原 瑶子近藤 恵松浦 秀治
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2019 年 127 巻 2 号 p. 67-72

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抄録

明治時代以後急速に進んだ短頭化は,1960年代生まれ以後の世代で反短頭化へと転じた。時代変化の逆転が環境要因によるならば,頭部寸法が成人値の80~90%に到達する1歳までの環境要因変化によると考えられる。そのような環境要因の一つである,1980年代半ばから急増した帝王切開が成人時の頭示数に与える効果を検討した。1990~1998年生まれの女子大学生122名を対象に,アンケートにより分娩様式の確認を行い,頭長と頭幅を計測した。このうち双生児2名と早産児1名を除く119名のデータを分析対象とした。自然分娩における頭部吸引の効果を分散分析により調べた。この結果,頭部吸引あり,吸引無し,吸引に関する情報なし,の3群で,頭長,頭幅,頭示数に有意差はなかった。このため,これら3群をプールして自然分娩群とした。自然分娩群(98名)と帝王切開群(21名)の差をt-検定で調べた結果,頭長,頭幅,頭示数のいずれにも分娩様式による差は認められなかった。以上の結果は,出産時の頭部変形の効果は短期的だという従来の知見を支持した。また,帝王切開による出産の増加が頭示数の時代変化の逆転の原因だという仮説は支持されない。

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© 2019 日本人類学会
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