Anthropological Science (Japanese Series)
Online ISSN : 1348-8813
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最新号
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総説
  • 澤藤 りかい, 蔦谷 匠
    原稿種別: 総説
    2020 年 128 巻 1 号 p. 1-19
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/23
    [早期公開] 公開日: 2020/04/07
    ジャーナル 認証あり

    従来の免疫的な手法によるタンパク質の検出と異なり,質量分析を利用したタンパク質の分析は,微量のタンパク質も検出でき,誤同定の恐れが小さく,処理能力が高く,未知のタンパク質を網羅的に解析できるという利点をもつ。2010年代以降,考古・人類学的な資料として学術的意味をもつ生物遺物体に存在する過去のタンパク質を,質量分析計を用いてハイスループットまたは網羅的に分析する古代プロテオミクスの研究が盛んになってきた。こうした古代プロテオミクスの手法は,特定のタンパク質のスペクトルパターンから分類群を判別するペプチドマスフィンガープリンティング(ZooMSなど)と,試料中に存在するタンパク質を網羅的に同定するショットガンプロテオミクスに分類できる。現在行なわれている古代プロテオミクスの研究は,生物試料の分類群の判別と系統推定,遺伝情報の推定,有機物の同定,生理状態をあらわすタンパク質の検出,食性の推定,という5つのカテゴリーに大別できる。質量分析によるプロテオミクスに一般的な問題や,過去の試料を分析する際に特有の問題があるものの,古代プロテオミクス分析の利点を活かした研究は今後さらに増加し多様化していくものと予想される。

原著論文
  • 水嶋 崇一郎, 平田 和明
    原稿種別: 原著論文
    2020 年 128 巻 1 号 p. 21-37
    発行日: 2020年
    公開日: 2020/06/23
    [早期公開] 公開日: 2020/04/16
    ジャーナル 認証あり

    成人期縄文人の四肢プロポーションは,現代日本人と比べると,上肢では上腕骨に対して前腕骨が長く,下肢では大腿骨に対して下腿骨が長いことが知られている。本研究では,縄文人四肢骨のプロポーション特徴についてさらに理解を深めるため,胎生5ヶ月から19歳にわたる縄文人118体と現代日本人311体の主要四肢骨を用いて各種のプロポーション示数(上腕骨橈骨示数,大腿骨脛骨示数,肢間示数など)の集団比較を行った。その結果,(1)縄文人四肢骨の遠位分節が相対的に長いという特徴は,上肢・下肢ともに胎・乳児期に発現しており,その特徴は思春期の終わりまで一貫して保持されていることがわかった。特に上肢に関しては胎生期の段階で明瞭な集団差を確認することができ,発生初期における四肢パターン形成の影響が考えられた。また,(2)どちらの集団も,上肢・下肢の各遠位/近位分節比は,胎児段階では成人と比べて著しく遠位分節の長いプロポーション傾向を示すが,おおよそ1歳半の時期に成人水準に到達しており,その後の成長では思春期の終わりに至るまで成人的なプロポーション状態が保たれることがわかった。さらに,興味深い所見として,(3)幼・児童期の縄文人は,上腕骨の伸長パターンが現代日本人とは有意に異なっており,この期間では上腕骨の伸長速度が相対的に遅くなる様子が観察された。これは従来指摘されてきた成人期縄文人の上腕骨が部位特異的に短いという形質と関係する可能性が考えられた。

書評
Anthropological Science(英文誌)掲載論文・報告紹介
日本人類学会「若手会員大会発表賞」受賞対象発表要旨
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