Acta Arachnologica
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生態
卵塊保護行動を行うヤマトコマチグモ Cheiracanthium lascivum の産卵数に影響を与える要因
菊池 知子大河原 恭祐
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キーワード: コマチグモ, 保護, 産卵数,
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2007 年 56 巻 2 号 p. 91-95

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抄録

石川県においてヤマトコマチグモの繁殖行動を観察し,その繁殖時期および産卵数の特徴について調べた.主に平野部の湿生草地 3 地点(浅野川河川敷,俵町水田地帯,片野鴨池湿地)で,葉を巻いて造られた本種の巣を定期的に採集した. 167 巣の巣が採集された.このうち親個体が卵塊または幼体と一緒にいた巣が 49.7%あり,親個体が巣に閉じこもり,卵嚢あるいは幼体を保護すると考えられた.しかし,親個体が幼体によって食べられた痕跡のある巣は採集されなかった.1巣あたり平均 143.6±SE 5.5 個の卵あるいは幼体や脱皮殻が含まれていたが,産卵数は調査した 3 地点間で異なり,片野鴨池湿地で最も多かった.また重回帰分析の結果,浅野川河川敷では体サイズの大きな親ほど産卵数が多くなり,また片野鴨池湿地ではサイズが大きな巣ほど産卵数が多くなっていた.このようにヤマトコマチグモの産卵数は親個体の体サイズと巣のサイズと関係していた.

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© 2007 日本蜘蛛学会
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