Acta Arachnologica
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キバラコモリグモ Pirata subpiraticus (BÖSENBERG et STRAD) の生態 II
浜村 徹三
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1977 年 27 巻 Specialnumber 号 p. 229-238

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抄録

東日本の水田に多く生息するキバラコモリグモの生態に関する室内実験を行った.
1) 25°C, 約10時間照明下で, キイロショウジョウバエを主な餌として飼育したキバラコモリグモの夏世代の幼体は, 卵のう脱出から成熟までに5~7回脱皮し, 平均約63日を要した. 一方, 10月に野外で採集した卵のうから出た越冬世代の幼体は, 同一条件下において8回脱皮し, 成熟までに平均160日を要した.
2) 越冬世代の幼体の背甲幅を測定した結果, 一部の令で背甲幅の重複が認められ, 背甲幅による令の決定は不可能であった.
3) 幼体期の捕食量には波があり, 各令とも脱皮後2~4日目に捕食量が多くなった. 各令の総捕食量は令が進むにつれて多くなった. 夏世代の幼体の総捕食量は平均約110個体であった.
4) 雌の成体期の捕食量は脱皮後, 交接後, 子グモが分散後に多くなった. 体の大きい越冬世代のクモは, 小さい夏世代のクモより捕食量は多いと考えられる.
5) 亜成体および雌成体に, ツマグロヨコバイとヒメトビウンカを与えた場合の捕食量も明らかにした.

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