Acta Arachnologica
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ヨリメグモの網構造について
新海 明新海 栄一
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1988 年 37 巻 1 号 p. 1-12

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抄録
ヨリメグモの網構造について調査した。このクモは流水面上に網を張り, 二つの型がみられた。一つは網の上部に支持糸を持った水平円網であり, 他の一つは基本的には水平円網だが, ヨコ糸が垂れ下がって水面に達しているために変形していた。そして, ヨコ糸と水面との接点には多くの細かい糸がみられた。ヨコ糸を張り終えたクモは, こしき部とヨコ糸との間においてタテ糸を切断し, それらのタテ糸をゆるめた。タテ糸がゆるめられると, 変形網のヨコ糸は流水上に浮遊するために, この網を浮遊網と名付けた。
網の形は, 造網場所の条件に影響された。浮遊網は水面上の比較的低いところにみられたが, 水平円網は水のない場所や水面上の比較的高い場所にみられた。
これらのことから, ヨリメグモは円網種に由来し, 流水環境に適応したクモであると考えられた。
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