抄録
インドネシアのクラカタウ諸島の生物は, 1883年の火山の大爆発により, ほとんど全滅した。その後, この諸島に周辺地域から, 多数の生物が侵入に成功し, 現在ではそこに森林が形成されている。1982年, この諸島においてサソリの分布に関する調査を行った結果, Chaerilus variegates nigricolor, Lychas mucronatus, Liocheles australasiae の3種が見出された。このうち L. australariae はクラカタウ諸島新記録である。クラカタウ諸島のサソリの種数は, 1908年には1種, 1933年には2種, 1982年には3種とゆっくりではあるが増え続けている。