1998 年 47 巻 2 号 p. 109-116
アジア産カブトガニ類の1種マルオカブトガニの5種のヘモシアニンモノマーサブユニット (HR1-HR5) のN末端アミノ酸配列を分析した. これに既知の HR6 を含めた6個のサブユニットのN末端配列とアメリカカブトガニの8個のヘモシアニンモノマーサブユニット (LP1, LP2, LP2A, LP3A•B, LP4-LP6) のN末端配列とを比較した. アミノ酸配列の特徴から, 両種は6組の (同じ遺伝子座の産物と見なせる) オルソロガスなサブユニットを持つことが明らかになった.
2種のアジア産カブトガニ類 (カブトガニとミナミカブトガニ) の, それぞれ, 6個のヘモシアニンモノマーサブユニットを含めたカブトガニ類4種での比較から, 現存4種のカブトガニ類の共通祖先は, HR1-HR6 に対応する6個のヘモシアニンモノマーサブユニットを持っていたことも明らかになった. さらに, アメリカカブトガニとアジア産カブトガニの共通祖先とが分岐した後, アリカカブトガニの系統における2つのサブユニットの重複により, 2組のサブユニットLP2A-LP3AおよびLP5-LP6が生じ, アメリカカブトガニは8個のサブユニットを持つようになったと推定された.