2021 年 1 巻 1 号 論文ID: SC-2021-14
クラシック音楽において,優れた歌手の歌声に共通する音響的特徴として歌い手のフォルマントが存在する.本研究では,音高の変化と母音の変化を含む歌唱課題を作成し,プロの歌手と音楽大学で声楽を学ぶ学生の歌声に含まれる歌い手のフォルマントについて比較検討した.その結果,プロの歌手の方が歌声に含まれる歌い手のフォルマントの占有率が高く,その変化が少ないということが明らかになった.また,歌い手のフォルマントはi 母音が高くu 母音が低い傾向にあり, i からu に移行する際に,歌唱技術の差が現れやすいということが示唆された.