2021 年 1 巻 1 号 論文ID: SC-2021-16
本研究では、ロシア人学習者による日本語韻律習得について、平叙文中の名詞句におけるピッチ産出を対象にした調査結果を報告する。語アクセントが正しく産出できても文発話になるとそのアクセントが維持されなくなるという指導時の疑問から、語アクセントの正用産出についての聴覚判定とピッチ曲線上に現れたアクセント句のカウントによる分析を行った。 対象者は、日本語母語話者のようにアクセント型を維持せず、名詞句後部にのみアクセントを置いて実現したものが圧倒的に多かった。これらがロシア語のイントネーション規則に準じている可能性から、目標言語である日本語に対して母語のイントネーションが用いられている可能性が示唆された。